【ニューヨーク11日(日本時間12日)=四竃衛】楽天からヤンキースに移籍した田中将大投手(25)が、プライベートジェットで豪華にキャンプ地のフロリダ州タンパへ移動した。本拠地ヤンキースタジアムで行われた入団会見では、ピンストライプの背番号「19」のユニホームを初披露。7年総額1億5500万ドル(約163億円)の大型契約の重圧にも「感じようが感じまいが、やることは一緒」と、早くも強心臓ぶりを見せつけた。会見後は空港へ直行し、15日のキャンプインに備える。

 ピンストライプのユニホームに初めて袖を通した田中は、早くもキャンプインが待ち切れないかのようだった。入団会見を終えると、事前に手配していたプライベートジェットでフロリダ州タンパへ向かった。「ここ何日か動けていないので、慣らしながらしっかりキャンプに臨めればいいかなと思っています」。はやる気持ちを表すかのように、「真冬日」が続くニューヨークを離れ、温暖なキャンプ地を目指した。

 というのも、7日(日本時間8日)に仙台で国内最終練習を終えて以来、雪中の長時間移動、米国入り、ニューヨークでの新生活準備などに追われ、4日間にわたり満足にトレーニングできない日々が続いた。オフも表彰式やイベント出席など多忙を極めたうえに、移籍準備にも時間を費やした。だが、米国でのお披露目を終え、ヤ軍の一員となった以上、これからはグラウンドでのプレーに専念する。15日のバッテリー組キャンプインを前に、タンパのキャンプ施設で本格的なトレーニングを開始する。

 練習不足の懸念に加え、超大型契約の重圧があっても不思議ではない。この日の入団会見は、新ヤンキースタジアムでは初めて高級ラウンジ「レジェンズ・クラブ」が使用され、300人の日米メディアが殺到。ヤ軍としても「03年の松井以来の規模」(ジロ広報部長)と言うほどで、報道陣用の食事にすしが用意されるなど、新人としては異例の大イベントとなった。

 「ハロー。ヤンキースの一員になれてうれしい」と英語で自己紹介をし、「ワールドシリーズで勝つこと」と、堂々と抱負を語った。さらに周囲の騒ぎを俯瞰(ふかん)するかのように、サラリと言ってのけた。「金額とかもよく言われますけど、ヤンキース側に評価していただいた数字。そこにプレッシャーを感じることはないと思いますし、感じようが感じまいがやることはどっちにしろ一緒ですから」。

 名門ヤ軍で新スタートを切る以上、あとは結果を残し続けていくしかない。「失敗することばかりにとらわれないで、成功して、いい投球をして、歓声を送られることをイメージしています」。田中の胸中には、一点の曇りもなかった。

 ◆田中の移動

 成田からニューヨークには日本航空の186人乗り大型機、ボーイング787をチャーターして移動。ニューヨークからタンパには、一般的に数人から20人前後までが搭乗できる小型のプライベートジェットを利用した。