ついに打たれた。楽天の守護神松井裕樹投手(19)が31試合目で今季初の適時打を許し、初黒星を喫した。同点の9回からマウンドに上がると、3者連続三振に仕留める。延長戦に入り、今季9度目の回またぎ登板。前日に続く登板でも「(疲れは)なかった」と落ち着いていたはずだった。

 10回、先頭のレアードを空振り三振に仕留めて4者連続三振。しかし、続く西川に二塁内野安打を許した。犠打で二塁に進めるも、2死。いつもならば、ここで踏ん張り、切り抜ける。だが、この夜は違った。2番田中に投じた外角低めのチェンジアップをうまくすくわれた。ふらふらっと上がった打球は左翼線上にポトリと落ちた。二塁走者西川は悠々と生還。打ち取ったはずの当たりで、勝ち越しを許し「点を取られている。抑えないといけない立場として、結果は悔しいです」と声を振り絞った。

 お得意様のはずだった。9回を終えた時点で、今季日本ハムへの“ノーヒットノーラン”を達成していた。8試合で9回1/3を投げ無安打無失点。完璧に抑え込んでいた。シーズンを通しても失点はわずか2点。ソロ本塁打によるもので、適時打は無かった。大久保監督も「シフトを敷いて(外野が)前にいたけど、あそこに落ちるか、というところに落ちたね」とまさかの救援失敗に肩を落とした。

 松井裕がクラブハウスを後にしたのは全選手で最後だった。チームはこれで12年8月4日以来の8連敗。「また明日、です」と敗戦を受け止め、前を向いた。【島根純】