阪神生え抜きで、03、05年優勝メンバーの今岡誠氏(41=日刊スポーツ評論家)が2軍野手総合コーチに就任することが26日、明らかになった。03年首位打者、05年打点王を獲得した実績と経験をファームに注入。背番号は恩師といえる星野仙一元監督(68=現楽天副会長)がつけた「77」に決定。今岡氏は「金本さんを男にしたい」と激白した。

 稀代のバッターとしてタイガース史上に名を残す今岡氏が、猛虎復活に腕を振るう。この日、兵庫県内で球団との正式交渉に臨んだ。2軍野手総合コーチの正式要請を受諾。打撃部門も兼ねる方向で、今岡氏は早くも「金本さんを男にしたい」と激白した。

 「監督に就任した金本さんが新聞紙上で強調している“振る”ことへのこだわりは、ぼくも共通していて理解ができる。まずは振らなあかんやろということ。追い込まれるまではヒット、ホームランを狙わなあかんでしょ。その結果が進塁打になるわけで、大切なのはまずは振ることです」

 星野監督が率いた03年、「1番今岡」は首位打者を獲得する。その年の「3番」が金本新監督。日本一の85年に34本塁打をマークした最強の真弓明信をしのぐトップバッターが出塁し、チームリーダーの金本がかえす。この得点パターンで、チームは18年ぶりの優勝を果たしてみせた。

 ファームで腐りかけたタイミングに、今岡氏を引き上げたのは“燃える男”星野だった。「お前を使う。その代わり、結果を出せなかったら辞めろ。そう言われた。必死でした。あんなに練習したことはありません」。恩師のカリスマに今岡氏のバットはこたえた。

 岡田監督の05年は「5番」として、“ミスタータイガース”藤村富美男が保持していた球団記録を塗り替える147打点をマーク。「それまでと違って、今度は『ホームランを狙え』ですから。これも勉強になりました」。当時から“天才的”と称された男が、若虎に野球に取り組む姿勢から厳しい今岡イズムを伝授する。

 今岡氏が背負う番号は星野監督がつけた「77」。星野氏は巨人V9の最強時代を築いた川上哲治氏を師と仰いだことで、ドン川上の「77」に固執。今岡氏はその名将たちがつけた背番号の系譜を、自らにプレッシャーをかけるかのようにだぶらせたのだ。

 毎年のようにシーズン終盤に大失速する内容に対して「チームを背負う軸がいない」と分析。「2軍で意識付けをするのは、指導者の責任。あくまでも1軍を勝たせるのが仕事。金本さんを男にするために尽くしたい」。“金本-今岡”の最強タッグで、猛虎をよみがえらせる。【寺尾博和】

 ◆今岡誠(いまおか・まこと)1974年(昭49)9月11日、兵庫県生まれ。PL学園-東洋大から96年ドラフト1位で阪神に入団。03年首位打者(3割4分)、05年打点王(147打点)で両年のリーグ優勝に貢献。09年オフにロッテへ移籍し12年引退。通算1309試合、1284安打、122本塁打、594打点、打率2割7分9厘。13年から日刊スポーツ評論家。現役時代は185センチ、83キロ、右投げ右打ち。