夢はでっかく岩瀬超え-。中日の育成ドラフト1位指名、愛大・中川誠也投手(21)が26日、愛知県豊橋市の同校で指名あいさつを受けた。愛大といえば中日岩瀬仁紀投手(40)の出身校。育成からのスタートでも、歴代最多セーブ記録を持つ大先輩を抜く大目標を掲げた。

 中川はあこがれ続けた偉大な先輩の名を迷わず口にした。「プロでどういう起用をされるか分からないけど、岩瀬さんのことは言われると思う。しっかり追い越せるように頑張りたい」と目を輝かせた。

 今年8月、愛知大学野球連盟選抜として中日2軍と対戦した際に岩瀬と対面し「プロ一本でいきます」とあいさつした。通算402セーブ左腕の背中ははるか遠い。だが、中田スカウト部長は「岩瀬の大学4年時と比較して、甲乙つけがたい」と高く評価する。

 共通点の1つが左腕から右打者の胸元を鋭くえぐるクロスファイア。大学入学直後に靱帯(じんたい)再建術、いわゆる「トミー・ジョン手術」を受け、リーグ戦デビューは3年秋だった。そこから順調に才能を伸ばし、今秋のリーグ戦では5勝2完封、防御率1・48と奮闘した。

 左肘のスタミナがまだ戻りきっていない状態でも好成績を残し、プロへの道を開いた。打者として一流だった岩瀬も3年時から本格的に投手を務め、NTT東海で飛躍した。「上り坂にいる。練習で一気にいく可能性がある」と中田部長は成長過程をダブらせる。

 伊勢工では3年夏の甲子園で金沢・釜田(現楽天)から二塁打を放つなど打者としても非凡。そこも「岩瀬2世」たるゆえんだ。その釜田が今年、同じトミー・ジョン手術から復活を果たし、励みになったという。「手術して球の重さが変わったと思う。2年間投げられなかったことをプラスに考えている」。育成からのスタートでも、未来はしっかりと見えている。【柏原誠】

 ◆中川誠也(なかがわ・せいや)1993年(平5)12月3日、三重県明和町生まれ。伊勢工高3年夏にエースで4番として甲子園出場も初戦敗退。愛大では3年秋にデビュー、4年春に3勝、今秋はリーグ最多5勝。最速144キロでカーブ、スライダー、フォークが持ち球。178センチ、82キロ。左投げ左打ち。