ヤクルト雄平外野手(31)が、カットマンとして新境地を切り開く。愛媛・松山で行われている秋季キャンプ休養日の9日、休日返上練習。約1時間、ひたすらマシン打撃でポイントの確認を行った。「追い込まれてからの打撃のレパートリーを増やしたい。シングルヒットではなくても、四球でもいいわけだし。塁に出る意味では同じだから」。手本は、身近にいた。「(川端)慎吾みたいに、追い込まれてからカットしていく技術はすごい。勉強になる」と後輩の巧みな技を例に挙げた。

 言葉通りの数字が、今季は表れた。2ストライク後の出塁率は雄平が2割1分3厘。川端は3割2分8厘と1割以上の差をつけられた。パ・リーグの「カットマン」も研究対象となっている。雄平は「(日本ハム)中島君もすごく粘る。だからフォアボールも生まれている」。四球数でも、2人との差は如実に表れた。川端の43、中島の66個に対し、雄平は27個だけだった。雄平の今季のファウル数は500だったが、空振りは196。中島は両リーグトップのファウル数599をマークし、空振りは雄平の約半分となる111だけだった。

 雄平にとって、同じ左打ちの2人はいいお手本となる。「粘った末に三振をしても、ファウルをする中でタイミングも合ってくる。次の打席につながる」。プレミア12に出場中の2人の打撃は、生きた教科書となる。単純なフルスイングからは卒業する。カットマン雄平として、新たな顔を披露する。【栗田尚樹】