阪神横山は感激の甲子園初勝利だ。4日に敵地でプロ初勝利を挙げた中日との再戦で、5回1/3を3安打1失点。お立ち台でスタンドを見渡し「最高です! 甲子園なので全然違います」と目を輝かせた。

 藤川の言葉に力をもらった。試合前の食堂、そして練習中の2度、声をかけられたという。「後ろは任せろ!」。緊急守護神としてスタンバイする右腕が、緊張しっ放しの自分の心を見通して励ましてくれた。「球児さんの言葉で、僕が絶対試合をつくるんだと強い気持ちになりました」。

 初回から全力で腕を振った。2週間ぶりの1軍登板は、最速は143キロにとどまり、調子自体は良くなかったという。だが、初回に平田を109キロのカーブで投飛に仕留めるなど、真っすぐを見せて変化球で打ち取る柔軟な投球で翻弄(ほんろう)。中日戦は12回1/3で1失点、防御率0・73となり、キラー襲名の2勝目だ。

 ベンチで見守った9回は藤川の奮闘に感極まったという。「球児さん、出てきた瞬間からすごい感動しました。感動をありがとうございました」。98年ドラフト1位の藤川から勇気をもらい、14年ドラフト1位左腕が躍動。ローテの谷間からの独り立ちを感じさせる、甲子園ナイトになった。【松井清員】