プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月11日付紙面を振り返ります。2005年の1面(大阪版)は、電鉄の筆頭株主となった村上ファンド側とのトップ会談に臨む阪神を報じたものでした。
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きょう、トップ会談 阪神電鉄(本社・大阪市)の株式を38%以上、取得し、筆頭株主となった投資ファンド・MACアセットマネジメント(通称村上ファンド)の代表者・村上世彰氏(46)は今日11日、大阪市福島区の電鉄本社で同電鉄の西川恭爾社長(66)とトップ会談を持つ。「阪神タイガース」株上場を狙う村上サイドは「球団持ち株会社」設立の構想を持っていることがこの日までに判明。西川社長ら本社役員は休日返上で本社に集結し、対応策を練った。
阪神電鉄を襲った激震の源(みなもと)がいよいよ電鉄本社に乗り込んでくる。連休明けの今日11日、村上氏が大阪市内の同本社で西川社長とのトップ会談を行う。電鉄株の大量保有が明らかになって以降、初の“直接対決”。それを前に新たな事実が明らかになった。問題の「タイガース上場」をより具体的にとらえた「球団持ち株会社」を設立するプランの存在だ。
村上ファンドは電鉄の子会社である阪神タイガースの株式上場を提案してきたが、野球協約では球団の株主に変更があった場合はその都度届け出なくてならないと定められている。売買で株主が頻繁に変わる上場は、繁雑な手続きを考えると現実的ではない。それを事前に察知していた同ファンドは「球団持ち株会社」を設立するプランをすでに提案しているというのだ。
新たに設立する持ち株会社が球団株を全株保有し、持ち株会社の株を上場すれば、その協約の問題もクリアできるという考えだ。
タイガース株上場に反対の意向を表明してきた電鉄サイドでは、本社首脳がこの日昼に休日返上で本社に集まり、午後7時過ぎまで約6時間、善後策を練った。内容はトップシークレットで広報からも何の説明もなし。首脳たちはピリピリした様子で「明日村上氏が来るかどうかも知りません」「内容? 全然分かりません。打ち合わせに入ってませんので」とだけ話した。会議後、大阪・吹田市の自宅に戻った西川社長は、待ち受けた報道陣に対して無言。秘書が「何もお話することはありません」と対応しただけだった。
11日のトップ会談の中で村上氏は、タイガースの上場を始め、電鉄の持つ資産をもっと有効活用して企業価値を高めるよう求めてくることが予想される。これに対して西川社長は経営戦略を説明する。もちろん相手が38%超の株を持つ筆頭株主だけに妥協点を探っていくことになる。
ただ、ある金融関係者は「38%を超える株を取得されているということは阪神側には極めて不利。現状では残り60%を村上ファンド側への対抗勢力としてまとめることは不可能に近い」と見る。くしくも今年は阪神電鉄100周年。社運に関わる運命の1日となる。
◆村上問題経過
9月27日 村上氏が率いる投資ファンドが阪神電鉄株の26・67%を取得し、筆頭株主になったことが明らかに。
10月3日 村上ファンドが電鉄株を38・13%まで買い増したことが判明。同ファンドはHP上で「株主として全面的にサポートしてまいりたい」と友好的な姿勢を強調した。球団を巻き込みかねない事態に、星野SDは「憤りを感じる。タイガースは公共のものであって、私的なものじゃない」と強い怒りを口に。
同4日 村上ファンドの狙いの1つが球団株の上場にあることが明らかに。また阪神電鉄株は一時1245円まで高騰し、ストップ高となる1067円で取引を終えた。
同5日 電鉄側が大和証券SMBCと財務アドバイザリー契約を結び、買収防衛に着手。巨人の渡辺球団会長は球団株上場案に「八百長の温床じゃないか。とばくの対象になる。野球協約上、あり得ない」と阪神サイドに援護射撃した。
同6日 根来コミッショナーが日本シリーズ直前の時期に球団株上場案を出した村上ファンド側に不快感を示し、「スポーツが売り買いになるのはどうか。12球団のオーナーも消極的と推測する」と疑問を呈した。
同7日 阪神牧田球団社長が、11月4日の12球団オーナー会議で援護射撃を願い出る構えを見せた。また巨人渡辺会長は「上場(案)はつぶす」とあらためて発言した。
同8日 阪神久万前オーナー(電鉄本社相談役)が村上ファンド側に「(球団株)上場に意味はない。採算はとれないだろう」と警告。また、電鉄本社の西川社長と村上氏の初会談が11日に大阪で行われることが決まった。
◆野球協約第6章(参加資格)第28条(株主構成の届け出と日本人以外の持株) この組織に所属する球団は、毎年4月1日までに、その年の2月1日現在の自球団の発行済み株式数、および株主すべての名称、住所、所有株式の割合をコミッショナーに届けなければならない。株主に変更があった場合は、その都度届け出るものとする。(後略)
◆阪神タイガース 阪神電鉄が全額出資する子会社。プロ野球セ・リーグの「阪神タイガース」を経営する。本社は兵庫県西宮市で資本金は4800万円。テレビの放映権料や球団グッズ販売などの収入が多く、経営難に苦しむプロ野球セ、パ12球団の中で数少ない黒字経営。18年ぶりにセ・リーグ優勝した2003年12月期の売上高は179億円、4位だった昨年12月期は146億円となっている。
◆持ち株会社 他の会社の株式を所有して、その会社の活動を支配することを目的にする会社。持ち株会社には(1)本業を行う一方で他の会社を支配する「事業持ち株会社」と(2)他の会社の支配を本業とする「純粋持ち株会社」がある。(1)の場合「親会社」と呼ばれることも多い。(2)には「〇〇ホールディングス」いう社名が目立つ。村上ファンドの構想は純粋持ち株会社と見られる。
※年齢、表記などは当時のもの



