阪神糸井嘉男外野手(35)が、古巣オリックスへの恩返しを果たした。3打席凡退後の6回、2死二塁から元同僚金子のチェンジアップをとらえ中前適時打。続く上本の打席で3試合連続盗塁となる二盗を決め、リーグ4位の今季8盗塁とした。最終打席で二塁打も放ち、マルチ安打もマーク。この日は昨季までの本拠地京セラドーム大阪で、移籍後では初の右翼を守った。

 まるで地をはうような打球だった。6回だ。2死二塁。フルカウントから糸井が、オリックス金子の外角チェンジアップを迷いなくつかまえた。ボールは二塁方向に横っ跳びした遊撃手の横を通過してセンター前にはずんだ。KO寸前の相手エースにトドメをさす一撃に、「追加点をとれてよかったです」。続く上本の5球目にスタートを切り、二盗にも成功。3試合連続、今季8個目となる盗塁を決めてみせた。

 半年以上前からゴングが鳴っていた。昨年11月。エース金子は、オリックスの「Bs Fan-Festa2016」で阪神移籍が決まった糸井との対戦をイメージし、「注目されると思うので対戦したら抑えたい。真っ向勝負というより真剣勝負をしたい」と発言。それを伝え聞いた糸井も「いや、打ちます!」と笑って応酬した。

 金子との対戦は、日本ハム在籍時に通算35打数7安打、打率2割、2打点、1本塁打。球界でも最高レベルの投手と認めるだけに、移籍1年目から実現することになった交流戦でのマッチアップに「最悪」とジョークを飛ばしつつ「いい投手やし、楽しみ」と対戦を心待ちにしていた。

 慣れ親しんだ景色だった。この試合は阪神で初めて右翼手として出場した。昨季までの「仕事場」で6度の守備機会を無難にこなした。バットでは6回の金子打ちで、一挙5得点と2度目のビッグイニングの火付け役となると、7回には3番手ヘルメンから左翼線にお手本のような流し打ちでツーベース。今季16度目のマルチ安打を記録した。

 やっぱり期待してしまう。ホーム開幕カードとなった4月のヤクルト戦で右翼席最上段に特大3ラン突き刺すなど、このドームでは4試合で打率3割7分5厘、2本塁打、6打点と相性がいい。阪神、オリックスの通算対戦成績は、これで25勝25敗1分け。盛り上がる関西ダービー。キーマンは間違いなく背番号7だ。【桝井聡】