きらやか銀行(山形市)がTDK(にかほ市)を3-0で下し、2年連続2度目の都市対抗(7月14日開幕、東京ドーム)出場を決めた。07年に1度クラブ化を経験したが、09年に企業チームへ復帰。昨年は都市対抗初出場で1勝を挙げるなど着実に力をつけ、今や東北を代表する強豪にまで成長を遂げた。

 これまで社会人野球「不毛の地」山形から、2年連続の都市対抗という“確変”は、大向誠監督(45)を抜きには語れない。クラブチーム時代にはバスの運転手を務めて遠征へ。昨年の都市対抗1勝時には、当時を回想し「思い出すと、泣くじゃない」と目を赤くした人情家だ。

 今季は明確な方針でチームを強化した。名付けて「日立(製作所)の下半身」と「トヨタ(自動車)のバント」。昨年の都市対抗決勝戦を観戦し「整列した日立の選手の下半身がものすごかったし、トヨタはバントから必ず得点が生まれていた」とヒントを得た。

 下半身強化は一朝一夕でできない。「最低3、4カ月はかかる。そこで選手の精神力を見たかった」と、継続的に努力することを説いた。昨年まではバントを多用しなかったが、今年は勝負どころで選択。この日決めた2度のバントから得点が生まれた。「去年は初出場でマークもしてもらえなかった。今年はしてくれますかね」と最後まで「大向節」は止まらなかった。