8回2死一、三塁。楽天銀次を外角いっぱいの148キロで見逃し三振に切り、躍動感たっぷりに跳ねた西武菊池は確信した。「まだいける」。既に球数は133球に達していたが、ボールに力があった。続投を志願した。9回も連続空振り三振で締め、炭谷と静かに握手を交わした。

 今季2度目の完封で8勝目。楽天に無類の強さを誇る。3戦3勝、トータル24イニングで2点しか取られていない。「前回、前々回と情けなかったので。前半戦最後の登板をいい形で終わりたかった」。ソフトバンクに3回もたず7失点KOされるなど、直近2戦は連敗。投球時の体の横振りを修正し、右股関節に体重をしっかり乗せた。

 初回、無死一、二塁のピンチを無失点で切り抜けた。好調さは三振の数が物語った。2回以降、毎回の14奪三振。カーブ、チェンジアップと緩い球を増やしたことで、150キロ前後の直球がさらに生きた。「珍しく、狙ったところにいきましたね(笑い)」。内、外。制球も抜群だった。

 7連戦の2戦目で中継ぎ陣を休ませ、チームは4連勝で40勝に到達。「相手どうこうというよりは、自分がズルズルいきたくなかっただけです」。良く投げたい。純粋な思いが、開幕から独走してきた楽天をついに首位から引きずり降ろした。【鎌田良美】

 ▼菊池が14三振を奪い、今季2度目の完封勝利。1試合14奪三振は14年8月13日オリックス戦以来となる自己最多タイで、14三振以上を奪った投手は菊池が今季初めて。また西武の投手で、完封の試合で14奪三振以上は、06年5月26日阪神戦の松坂以来。左腕では91年5月1日ダイエー戦の工藤以来26年ぶりとなった。