阪神がついに2位確定だ。敵地東京ドームでの巨人24回戦。1回に上本博紀内野手(31)が頭部死球を受けて交代し、病院に直行するなど波乱の幕開けとなったゲームを制した。俊介外野手(30)が7回に4号ソロを放つなど猛打賞の活躍で、秋の決戦、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの甲子園開催を決定させた。
意外な男? がリーグ2位を確定させた。2-1と1点リード7回1死走者なしの場面。俊介が大仕事をやってのけた。カウント1-1からの3球目。巨人の剛腕マシソンの高めの直球に力負けせず押し込んだ。「入ると思わなかったので、とにかく抜けろと思った」。歓声と悲鳴に包まれた打球は一直線に右翼スタンド最前列へ飛び込む。価値ある4号ソロで試合の流れをグイッと引き寄せた。
試合開始からわずか5分。東京ドームが騒然となった。1回、1番俊介が左中間へ二塁打を放った直後だ。2番上本が頭部死球を受けて緊急交代。思わぬアクシデントで1、2番コンビが分断された。それでも2回には2死二塁から俊介が右前適時打。「強引にならず逆方向に打ち返すことができた」と、2点目を挙げていた。あと三塁打が出ればサイクル達成となる3安打2打点。文句なしのヒーローだった。
プロ8年目の30歳。決して華やかなプロ人生を歩んできたわけではない。ただ、今春は金本監督の教えを受けてウエートトレーニングに特化。約8キロ増量して勝負の年に臨んだ。今季はここまで71試合に出場して打率3割1分1厘。本塁打は昨季までの3本を、今季だけで超えた。
目の色を変えた俊介の違いに、いち早く気づいた片岡打撃コーチは「パワーアップしたことで(バットの)ヘッドの使い方も良くなった」と説明。この日も金本監督は「昨日打てなくて、どうかと思ったが、片岡コーチが『俊介でいこう』と言ったので、分かったと。ナイスアドバイスだった」と、腹心の猛プッシュがあったことを明かした。
道がくっきりと浮かび上がった。今月14日に開幕するCSファーストステージ。舞台は黄色く染まった甲子園だ。金本阪神初のCSは心強い阪神ファンの声援を受けてスタートする。俊介は「(阪神ファンは)日本一のファンだと思っている。勝ちたい。1戦1戦、自分たちの野球をしてCSに臨みたい」と力強く言った。
14年は甲子園のCSから日本シリーズに進出した。下克上日本一へ。秋の球界を盛り上げるのは若手、中堅、ベテランが一体となった猛虎だ。【桝井聡】
▼阪神の今季2位が決まった。阪神は残り3試合に全敗しても75勝64敗4分けで勝率5割4分。DeNAが残り3試合に全勝しても73勝65敗5分けで勝率5割2分9厘で、阪神が上回る。阪神の2位は、14年以来3年ぶり。