笑顔で苦しかったシーズンを締めくくった。日本ハム有原航平投手(25)が2年連続2ケタ勝利を達成した。楽天25回戦(Koboパーク宮城)で先発し7回9安打1失点。味方の逆転勝利を呼び込む投球で、10勝目を挙げた。自身初の開幕投手を任された3年目シーズンは、開幕から5戦勝ち星なしと苦しんだ。黒星が先行したが、終盤は3連勝で来季につなげた。

 有原の意地だった。今季25度目の先発マウンドに、栗山監督らの願いも込められ、送り出された。2年連続の2ケタ勝利へ、あと1勝。今季最終戦、ラストチャンスに背負った期待の分もボールに乗せ、今季6戦未勝利の楽天打線に立ち向かった。2点リードの7回2死一塁。1発を浴びれば同点の場面でウィーラーに投じた最後の105球目、三ゴロに打ち取った直球が、この日の最速151キロを計測した。気迫が勝った。「苦しいピッチングだったけど、守備で守ってくれて何とか粘れた」と、野手への感謝の思いもあふれた。

 3年目右腕にとって、試練のシーズンだった。自身初の開幕投手を任された。2年連続で大役を務めてきた大谷は右足首痛による調整で出遅れていた。未来のエースとして、託された。だが開幕戦を6回途中6失点KO。好スタートを切れなかった。そのまま開幕4連敗で5戦連続勝ちなし。大きく負け越しながらも、チャンスは何度も与えられた。一方で2軍落ちも経験した。チームが5位と低迷する責任も感じていた。締めくくる1戦は「シーズン通してチームに貢献できず、何とか最後は勝ちたいって気持ちだった」。

 大黒柱となる覚悟を決めている。大谷は来季メジャーに挑戦する。「悪い時も抑えられるように。(課題は)これから考えます」と背番号16。リーグ最多13敗を喫したが、チームで唯一規定投球回数を投げ、フル回転した1年だった。また開幕マウンドを任せてもらうためにも、信頼を集める必要がある。雪辱の4年目はもう始まろうとしている。【保坂果那】