ソフトバンク中村晃が2試合連続の決勝弾を放った。6回、内川の4号ソロで同点に追いつき、ヤフオクドームが盛り上がってすぐだった。楽天宋家豪の初球149キロ直球をとらえると、ライナーで右翼ポール際のスタンドへ。「(初対戦なので)どういう投手か分からない。直球を狙っていた」と会心の一打だった。

 前日は、連敗の責任を背負い、本塁打の後も笑顔がなかった。だが、この日は満面の笑みでナインとハイタッチ。2回には無死一塁から投前へ犠打。第2戦ではバント失敗も、この日は初球で決めた。このCSで打順は3番→7番→5番と変わっているが、打順は関係ない。「主力はゲームを左右する。プレッシャーを感じるがいい経験」。今季は長打を求め試行錯誤が続き、打率は2割7分。納得がいくものではなかった。それでも全試合に出場。責任感は強い。

 本拠地ヤフオクドームの試合前、ベンチ前にはチアのハニーズが2列で花道をつくるが、中村晃は必ずチアの後ろを走ってグラウンドに飛び出す。「座っている位置が端だからですよ」と笑うが、そのルーティンは崩さない。「あと1つ。全力で明日勝てるように」。チアの背後から飛び出す安打製造機が、今日も勝利の一撃を狙う。【石橋隆雄】

 ▼中村晃が2試合連続の決勝本塁打。同一シーズンのプレーオフ、CSで2試合連続V打は、82年第1、2戦大田(西武)15年ファイナルS第1~3戦内川(ソフトバンク=3試合連続)16年ファイナルS第1、2戦丸(広島)に次いで4人目。2試合連続Vアーチは、中村晃が初めてだ。また内川とは2試合連続のアベック弾となったが、これもプレーオフ、CSでは史上初。