巨人2年目左腕の池田駿投手(25)が球場開きの5日、午前8時40分、川崎市内のジャイアンツ球場に一番乗りで登場した。「狙ったわけではないんですが」と苦笑い。気温1度のグラウンドで体をほぐすと、屋内練習場へ。昨年11月の秋季キャンプで左肩に違和感を覚えて以来、2度目のブルペンに入った。座った捕手へ25球。「6割程度の力。まだ球がばらついていた」と辛口の自己評価だが、順調な回復ぶりに「一番福男」の表情は明るかった。

 福男には縁があった。人口約4500人の新潟・三島郡出雲崎町出身。毎年、両親と兄、妹の家族5人で実家から約400メートル離れた八幡神社へ、大みそかから元日にかけて初詣に行っていた。その帰り道は「小学3年生くらいから毎年、母、兄、妹と誰が一番速く家に帰れるか『一番福』を競っていました」と家族での競走が恒例行事。午前0時過ぎ、懐中電灯を持ちながら人けのない暗闇の山中を駆け抜けた。

 “悪夢”も味方につける。4日に見た初夢は、4時間の大寝坊。「練習開始が朝9時なのに起きたら、寝間着姿で午後1時で…。しかも、なぜか自宅の2階に高橋監督がいて、謝りに行こうとしたらスタッフ会議中で…。本当に夢でよかったです」。眠気も吹き飛ぶ? ほどの出遅れは夢の中に納めた。今季50試合登板と勝利の方程式入りを目指す左腕は「早起きは三文の徳」を信じ、2年目のジンクスも吹き飛ばす。【桑原幹久】