楽天の星野仙一球団副会長が4日午前5時25分に死去した。70歳だった。担当記者が悼む。

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 中日監督就任が決まったばかりの86年オフ。まだ39歳だった新監督が、ロッテで2年連続3冠王になった落合博満の獲得を熱望した。中日から4人の有望選手を放出するという大型トレードになった。

 ロッテが「合意」と先行発表したのが12月23日。だが中日側の4人のうち牛島和彦だけは拒否していた。星野監督は25歳右腕の説得にかかる。まず、考える時間を2日与え、24日の深夜0時。自宅に呼び寄せた。

 白紙の小切手を渡し「好きな数字を書け」と伝えたという。当時、トレード選手には100万円ほどの引っ越し金だけが出された。牛島は金額記入を拒否したが、そこまで「鬼の星野」に頭を下げられ、折れた。

 牛島の退団会見に同席し、ロッテとの契約に出向く日は名古屋駅のホームまで見送った。それから2年後に落合を擁して初優勝。「チームを強くしたい」熱い思いは、実を結んだ。【遊軍=柏原誠】