ヤクルトが「山田式育成計画」で、高校通算52本塁打のドラフト1位村上宗隆捕手(17=九州学院)をブレークさせる。9日、埼玉・戸田球場で新人合同自主トレがスタート。捕手から三塁手に転向する村上について、小川淳司監督(60)は「試合に数多く出て、練習も多くさせていく。野手は多く実戦を積ませることを一番に考えたい」との方針を示した。

 同じ高卒ドラ1の内野手で、最高の育成成功例がある。今や球界を代表する強打者の山田も1年目は1軍に呼ばず、2軍で114試合も使い続けた。この経験が礎になった。2年目から2年間は1軍と2軍の両方を経験。4年目の22歳で1軍に固定し、193安打の覚醒へ導いた。

 村上にも同じシナリオを描く。指揮官として当時の山田を起用した小川監督は「山田の育成プランは参考になっていくかな」と話す。基本的に、高卒新人は春季キャンプ2軍スタートが球団の方針。視察した新任の宮本ヘッドが「バットの扱い方がいい。トス打撃を見た時さすがドラ1だなと」と評した打力を引き出すためにも、1年目は2軍で実戦を積ませる計画だ。

 この日は自慢の打力を披露する機会はなかった村上だが、ダッシュでは「負けないぞって気持ちで走った」と先頭を奪う場面もあった。「早く1軍で活躍できるように頑張りたい」。山田がつくった足跡を、1歩ずつたどる。【浜本卓也】

 ◆ヤクルト山田ブレークへの道 1年目の11年は春季キャンプ2軍スタート。シーズンは2軍で114試合460打席を経験し、打率2割5分9厘、5本塁打。プロへの適応を見せると、故障者が出たチーム状況もあり、1軍未経験ながら中日とのクライマックスシリーズ・ファイナル第2戦でスタメンに抜てきされた。14年に定位置を確保してからは2軍出場ゼロ。その年に年間193安打で日本人右打者のシーズン最多安打を更新し、翌15年からの2年連続トリプルスリーへとつなげた。