日本ハムのドラフト1位、清宮幸太郎内野手(18=早実)が21日、2軍キャンプ地の沖縄・国頭でプロ入り初の屋外フリー打撃を行った。57スイングで14本の柵越え。場外弾は5発放った。右手親指の打撲から約1カ月間、慎重にリハビリを続けてきた。右手親指痛を考慮して、トレーナー陣からフルスイング禁止令が出される中でアーチを量産。新時代のスラッガーが、大きな1歩を踏み出した。
晴れわたる青空に、らしさ満点の放物線を描いた。練習試合をする1軍とは離れ、清宮が2軍キャンプ地の国頭で、プロ初の屋外フリー打撃を行った。57スイングで柵越えは14本。そのうち5発は場外に運んだ。11スイング目に放った場外弾は、約10メートルの防球ネットを越え推定飛距離130メートル。「気持ちよく、できました。ボールが飛んでくれてうれしかった。飛距離も落ちていなかったですし、角度も悪くなかった。ケガする前と変わりなかった」と声が弾んだ。
天候も初舞台をアシストした。明け方は小雨が降り、アップは室内練習場で行った。風速6メートルの強風も吹いていた。アップが終わり、清宮が外へ出ると一気に天候は回復。早実の大先輩、荒木2軍監督は「あいつ、すごいよね。晴れたもんね」と驚いた。風も静まる中で打ちまくると、直後に雲が青空を隠した。大渕スカウト部長は「清宮晴れ、だな」と舌を巻いた。
70%のスイングでもアーチを量産した。フリー打撃前に、谷ヘッドトレーナーからフルスイングを禁じられた。1月18日に右手親指を負傷後、米アリゾナでの1次キャンプ中も、我慢を伴うリハビリの日々。打てないストレスもあった。この日も球団関係者に「特打して~」と、たまったうっぷんを吐露したという。自己評価では「6割、7割くらい」と話すフリー打撃再開で、ストレスは少し解消。自然と笑みがあふれた。
今日22日も国頭でフリー打撃で行う。スイング強度も上げる予定だ。韓国・サムスンとの練習試合の前に視察した栗山監督は「明日(22日)の状態を見て。打つ数を増やした時に、どんなふうになるか」と先を見据えた。順調ならば、24日の中日とのオープン戦(北谷)で実戦初打席が想定される。清宮は「たくさん我慢してきたので、今日は楽しかった。いつかは(実戦に)出る。その日へ向かって準備したい」。開幕への道が、はっきり開けてきた。【木下大輔】
<主な初フリー打撃>
◆清原和博(西武) 86年2月1日、西武球場で33スイング中柵越え3本、安打性の当たり11本。1号アーチは5スイング目に左中間芝生席へ130メートルの特大弾だった。「練習でいくら打ったかて、試合で打たなしゃあないですよ」。
◆松井秀喜(巨人) 93年2月1日、宮崎で48スイング中柵越え4本、安打性の当たり18本。30スイング目にバックスクリーン左のネット中段に当たる135メートル弾。翌2日、2度目のフリーでは57スイング中、150メートル弾を口火に場外3発を含む13発を放ち「やっぱり飛ぶと気持ちいい」。
◆中田翔(日本ハム)08年2月1日、36スイングで13本。6連発あり、スコアボード直撃あり、左中間の防球ネットを越えワンバウンドで砂浜まで到達する140メートル場外弾あり。「ホッとしています。今日はセンター方向の打球が伸びてくれた」。目撃したダルビッシュも思わず「えぐいな」とうなる迫力だった。
◆大谷翔平(日本ハム)13年2月1日。野手として走塁練習を終えると、投手組に合流。キャッチボールに80メートルの遠投。再び野手組に移動して内野ノックの後にフリー打撃。45スイングで柵越えはなし。「もうちょっと引きつけて打てればよかった」。