万全のスタッフで北の社会人野球界を再開拓する。1日に日本野球連盟に登録した北海道ガス(北ガス)硬式野球部が18日、札幌市内で創部発表会を行った。初代監督の小島啓民氏(54)は、92年バルセロナ五輪銅メダリストで元社会人野球日本代表監督。日本連盟も太鼓判を押す同監督の手腕と、北海道の冬を熟知する元サンワード貿易監督の渡部勝美ヘッドコーチ(55)がタッグを組み、道社会人野球“黄金期”復活を目指す。

 北ガス硬式野球部が、九州男児と道産子の“ハイブリッド”指導で新風を吹かす。創部発表会に臨んだ小島監督は青いネクタイを締め壇上に上がった。「スローガンが『北の青い炎になれ』。ガスの青い炎をともさないと。(北ガスの)大槻社長と話して、熱い思いを感じ引き受けた。みんなに愛されるチームにしたい」。目に力を込め、自らの使命を口にした。

 「もう現場でやることは、一通りやってきた。既存のチームなら引き受けないが、まっさらだからこそ、やりがいを感じた」。昨年6月、北ガスの土谷浩昭部長(57)が、北海道野球連盟の柳俊之副会長(70)と日本野球連盟を訪れた。参入の意思を伝えると、日本連盟が社会人球界のレジェンド的存在だった小島氏を紹介。道アマ球界の活性化を目指す同社と道連盟、新たなチャレンジに燃える小島氏の思いが合致した。

 昨秋、監督に内定すると一気に話は進んだ。長崎出身の小島監督は「北海道の冬はどうしたらいいのか想像がつかなかった」と振り返る。すぐにバルセロナ五輪での戦友、芦別出身の渡部氏に連絡した。同氏は「一緒に野球界に恩返ししようという言葉にひかれた」と入閣を受諾。冬場を見据え、屋内練習場の確保を重視した同コーチの提案が受け入れられ、厚別区の敷地に3000平方メートルの自社施設建設が決まった。

 チームは2日に集合し、練習開始。現在は「体力がないと技能はつかない」という監督の方針で、筋力トレ中心の練習を約2週間続け、早くも平均5キロの体重増に成功。今後の方針として「指導過多にならないよう、考えさせながら育てる」と話した。

 道勢は74年都市対抗で大昭和製紙北海道、78年日本選手権で北海道拓殖銀行が優勝している。直近の目標は5年以内の全国出場も、当然その先を見据える。最強の船長、副船長を据えた北ガスが、道勢復権の旅に乗り出す。【永野高輔】