創設4年目の楽天シニアが、新たにスタートを切る。創設時から試合に出続けていた1期生20人が卒業し、4月から4期生10人が加わった。昨年8月から就任した元楽天投手の川岸強監督(38)に鍛えられ、5月5日から開幕するリトルシニア春季東北大会に出場する。楽天シニアは同5日に本荘由利シニア(秋田)と初戦で激突する。【取材・構成=高橋洋平】

 ブレずに戦う。川岸監督は5月5日の初戦を前に微動だにせず、宣言した。

 「目標は全国制覇と言いたいところだけど、去年は秋の東北で1位になれなかったチーム。まだ先を見ずに1戦1戦戦っていくという意識を持って、謙虚な気持ちでやる」

 昨年8月、レギュラー9人すべてを占めていた1期生20人が卒業した。新体制で始まったチームの船出は、決して順風満帆ではなかった。前年度は優勝した秋の東北大会で、まさかの5位止まり。辛うじて3月のリトルシニア全国選抜大会の出場権を得たが、大宮シニア(関東)に延長タイブレークでサヨナラ負け。初戦敗退を喫した。

 先発した最速131キロを誇るエース芳賀慎之介投手(3年)が崩れた。初回から制球が定まらず自滅。「初戦が重圧になって自分の投球ができなかった。リズムが悪くて失策も続いた」。また、心理的にも自立できていなかった。バッテリーを組んだ主将の小野天之介(そらのすけ)捕手(3年)は当時を回想する。

 「先輩たちが全国でも勝っていたので、自分たちも勝てると思い込んでいた。そんな気持ちがチームの中にあったと思う」

 創設期からチームを支えた1期生は特別だった。立ち上げ時の1年生から3年間も試合に出続け、実戦経験が豊富。実力があった先輩たちと、未熟な自分たちを勝手に重ね合わせていた。小野は「先輩たちは全国大会に出ても、勝つのが当然だと思ってプレーしていた。でも自分たちは…」と反省した。

 全国選抜初戦敗退後は選手間でミーティングを行い、出た結論が自主性だった。「新チームが始まった時は、監督とコーチに頼りっきりだった。アップのメニューも考えられなかったけど、今は自分たちで考えてやっている」。指示待ちだった選手たちは、次第に自分の意思で行動を、そしてプレーを始めた。

 小野は手応えを口にする。「それでチームはいい方向に向かっている。みんな考えながらプレーできている」。全国大会では捕逸など守備面で足を引っ張っていたが「今はだいぶ安定してきた」と自信を見せる。初戦に向け「9人だけじゃなくて、30人全員で戦う」と意気込む。クリムゾンレッドの誇りを胸に、堂々と暴れ回る。