ヤクルトがオリックスを9-5で下し「日本生命セ・パ交流戦」の首位を守った。右肘手術から復活したエース小川泰弘投手(28)が7回4安打1失点と好投。右手負傷中の4番ウラディミール・バレンティン外野手(33)はリーグトップタイの16号3ランでけん引した。エースと4番の活躍で9年ぶりの交流戦5割以上を確定。勝率トップに向け、さらなる上昇気流に乗る。また、この日のセ・リーグ4勝で、両リーグの勝ち星が33勝で並んだ。

 小川の帽子のつばから、何度も雨粒が滴り落ちた。それでも表情を変えずに左足を高々と掲げ、右腕を振った。6回に安達の打球を左ふくらはぎに受けても動じない。直球とカットボールを軸にテンポ良く相手打線を牛耳った。7回97球、4安打無四球で2勝目。ほぼ完璧な内容にも「序盤から援護してくれたので集中力を切らさないように、強気に攻めることを考えた」とクールだった。

 エースとは対照的に、4番は全身で感情を表現した。バレンティンは3回無死二、三塁、田嶋のチェンジアップをすくい上げて左中間席へ運んだ。DeNA筒香と並ぶ16号3ランで試合を決め、本塁付近で青木とジャンピングハイタッチ。「何とか1点でも取りたかった。本塁打王を誰と競おうが関係ない。自分のモチベーションはチームが勝つことだからね」と勝利の味をかみしめた。

 エースと4番が、9年ぶり4度目の交流戦5割以上を確定させた。96敗を喫した昨季は5勝12敗1分けで失速を加速させたが、今季は7連勝を含む9勝2敗で単独首位。苦戦を強いられているセ・リーグの中で、快進撃が際立つ。

 バレンティンは8日オリックス戦の守備で右手をフェンスに激突させて途中交代した。だが、翌日に「4番、ストロングハート!」と出場を志願。この日も打撃練習を回避と万全ではないが「悪天候は関係ない。グラウンドに立てば100%を出すだけ」と意地の5打点。小川も手術明けながら「長い回を投げられるように」と登板過多の中継ぎ陣を思い、今季最長の7回まで粘った。小川監督は「打つべき人が打って、投げるべき人が投げた」と目を細めた。

 5カード連続勝ち越しで、交流戦首位をがっちりキープ。景気のいい言葉にも、指揮官は「1試合1試合必死に戦っていかないといけない。7試合も残っているし、勝率5割を目指しているわけじゃないので」と関心を示さなかった。勝っても浮かれず、足元を見据える。今のヤクルトは、強い。【浜本卓也】