DeNAのお家芸だ。筒香嘉智外野手(26)が、3回に16号勝ち越し3ランで、3連勝をもたらした。降雨コールドが予想される雨中のゲームで、本塁打を含む長打3本。積極策が功を奏し、6回表コールドで先発の今永昇太投手(24)に今季初勝利をもたらした。昨季クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ阪神戦で演じた「世紀の泥んこ試合」を制してから、雨中戦は今季2戦全勝。チームは借金返済で2位に浮上した。

 降りしきる雨、スパイクにこびりつく赤土。泥んこ試合を身をもって知る筒香は、ものともしなかった。1-1の同点で迎えた3回2死一、三塁。初球、低めの直球だった。左翼スタンドギリギリに運ぶ16号3ラン。「雨でどうなるか分からない状況。早めにいこう、と」。2回の第1打席、左翼フェンス直撃二塁打に続く初球打ち。積極策で振り抜くバットで、やむ気配のない雨を切り裂いた。

 5回にも再び左翼フェンス直撃に、足場を気をつけながらすり足気味に二塁を踏んだ。晴れていれば三塁打の当たり。9回までやれば、サイクル安打も見えてくるコンディション。「多少普段と比べれば、滑りやすくなるが、何も変えることはない。バッティングは何も変わらず、いつも通り」と不敵に言い切る。

 昨秋、甲子園でのCSで、泥だらけになりながら執念の安打を打った経験から、何も変える必要はないことは分かっていた。「相手どうこうよりも、自分のスイングができるかどうかの方が大事」と心に決めている。左方向への打球がコンディションのバロメーター。この試合、長打3本すべて左翼を越えた。ここまで16本塁打43打点。「感覚は悪くない」と上り調子で交流戦残り2カードに臨む。

 粘投する今永の背中を見ながら「本来の姿に見えて安心した。今永がよく投げてくれたから、点が入ったんだと思う」と感謝した。あの泥んこ試合も今永が先発しながら3回降板。今度は初勝利をもたらした。「チームが勝ったこと。打率3割超えても負けたら意味がない。どうでもいいというか、今は勝利が大事」。3連勝で5チーム混戦のリーグ2位浮上。泥を潮目に、突き放しにかかる。【栗田成芳】

 ◆17年セCSファーストステージ第2戦VTR DeNAが13-6で阪神に勝利して1勝1敗のタイに持ち込んだ。試合は強い雨のため63分遅れで開始。DeNAは2回に先制を許すも、5回には筒香が転倒し泥まみれになりながらも安打をつなぎ同点。6回に逆転を許すも、7回には筒香の勝ち越し打、代打乙坂の3ランなど一挙6点の猛攻で勝負を決めた。DeNAが4時間35分の熱闘を制してファイナルステージ進出に逆王手。この試合で勢いを得たDeNAは日本シリーズまで勝ち進んだ。