全セの中日松坂大輔投手(37)が熊本への思いを語った。

 ソフトバンクに所属していた16年4月に熊本地震が起きた。リブワーク藤崎台も大きな被害を受けた。松坂は復旧支援として個人で1000万円を寄付した。

 当時は「野球界に携わるものとして、熊本の野球界のために何か役に立てればいいと思った。熊本県内には被災しながらも野球を続けている球児も少なくないと聞いています。もうすぐ甲子園も始まりますが、熊本の高校野球にとって象徴的な存在でもある藤崎台球場が、1日も早く修復を終えることができるように願っています」とコメントしている。

 九州唯一のプロ球団に身を置くこともあり、熊本での1軍戦に投げることを1つの目標としていた。だが長引く右肩痛などのために実現できず、昨秋にソフトバンクを退団した。

 今年、新天地の中日で復活を遂げ、ファン投票で球宴に選ばれた。選出決定の際には「まさかこういう形で熊本に行けるとは」と驚いた。そしてこの日、球宴の特別ユニホームを着て、藤崎台のグラウンドに足を踏み入れた。県の関係者らとも面会し、寄付に対する感謝の意を受けた。

 「今日来て、球場の中を歩きながら雰囲気、空気を感じました。本当はホークス時代に来たかった。球宴で来られたのも何かの縁かと思います」。まだ復旧が道半ばであることも確認。「時間がかかるんだな」と神妙に話した。

 第1戦に先発したが、1回5失点と打ち込まれた。それでも背中の捻挫から約1カ月ぶりの実戦復帰でもあり、投げられたことが収穫だった。一夜明けても、外野席を埋めた熊本の子どもたちの目の前でキャッチボールを繰り返し、問題なしを確認した。「結果は散々だったけど、昨年の状態を考えれば球宴で投げられてよかった。また出たいと思いました」。

 第2戦、期待された代打での出場はなかった。それでも最後まで熱い声援を送ってくれたファンに感謝して、球場を後にした。