首位広島は2位巨人を5本のアーチ攻勢で沈め、今季7度目の同一カード3連勝を飾った。5回に今季3度目の1イニング3発が飛び出し、7回の丸佳浩外野手(29)の20号決勝2ランなど全8得点が本塁打という豪快すぎる逆転勝ち。貯金を今季最多15とし、2位に最大8ゲーム差をつけ、リーグ3連覇へまっしぐら。早ければ27日にも優勝マジックが点灯し、球団史上最速を更新する可能性が出てきた。
地響きのような歓声がマツダスタジアムにこだました。7回1死一塁。丸が、上原の直球をとらえた。会心の打球が左翼席に飛び込む。夏の“花火大会”を締めくくる、2打席連発の20号決勝2ラン。これが今季チーム100号だった。
「コースに逆らわずに、うまくとらえることができた。強くたたけて風にも乗ってくれた。結果的に最高のスイングができた。今日もあきらめないカープらしい野球ができた」
4回まで6点ビハインドも、バティスタの14号ソロで反撃開始。5回は田中の右越え2ランで3点差。そして丸が右中間への19号2ランで今村をKOした。続く鈴木は代わったばかりの野上の初球を左翼席へ。「良い流れで回ってきたので初球から積極的に」という13号ソロで、たちまち追いついた。1イニング3発は今季3度目だった。
そして押せ押せムードの中、丸の7回の決勝弾につながった。3年連続20号は球団では06~09年の栗原以来。「毎日のルーティンというか、コーチらと相談しながら考えをまとめた上で打席に入っている」。自身はホームラン打者ではないと強調するが、そんな日々の積み重ねによって、新たな勲章を手にした。
豪雨災害後、最初のホーム3連戦だった。初戦はあと1死の崖っぷちで下水流が逆転サヨナラ2ラン。この日も今季初めて5点以上のビハインドをはね返す大逆転だった。ミラクル続きに緒方監督も「これだけスタンドのファンの後押しがあって、初戦から信じられないような勝ち方が続いている」と驚いた。広島に勇気を与える3連勝だ。
ヒーローの丸はお立ち台で言った。「広島の皆さんの前で野球ができる幸せをあらためて感じた。地元で3連勝は自信にしていいが、まだ先は長い。目の前の試合を全力でやっていきたい」。これからも明るい話題で、大きな傷を負った街を元気づける。【大池和幸】