ヤクルト山田哲人内野手(26)が、自身初となる4試合連続の本塁打を放った。巨人戦(倉敷)の3回2死一塁、巨人先発内海のフォークボールを中堅左へ豪快に運ぶ23号2ランを放ち、セ・リーグの本塁打王争いで単独トップに立った。同僚のバレンティン、DeNA筒香と激しく争うキング争い。3度目のトリプル3が視界に入る男が、軽やかにアーチを重ねていく。チームは4連勝で、2位巨人に0・5差と迫った。

 山田哲がコマのようにクルッと回った。3回2死一塁、巨人内海のフォークにも体の軸はぶれない。コースが真ん中付近で甘かったとはいえ、右足にしっかり体重を残したまま軸回転で仕留め、バックスクリーン左へ。4試合連続の1発は、セ・リーグ単独トップとなる23号先制2ラン。「スイングの軌道がいいから、いい角度で上がって本塁打になっている」と、うなずいた。

 長期的な取り組みが成果に表れだした。3年連続のトリプルスリーを逃した昨年末、原因を探った。内角攻めの影響もあり、上体が投手寄りに崩されていた。「右足を意識してバットを振ります。シーズンに入っても無意識にできるように今から体に染み込ませていきますよ」。1月のトス打撃から右足に神経を注いでスイングを繰り返し、何も考えなくても常にできることを目指してきた。

 肉体も地道に強化した。元来食は細いが、オフから肉と米中心の食生活へ。「この年で食事量を増やしたって格好悪くないですか」と苦笑いしつつ、今夏は体重減を防ぐべく、食事の終盤に大盛りのご飯と赤身肉300グラムを胃袋に流し込む時もある。元々スイングの速さが持ち味。加えて、培ってきたパワーを右足に十分に乗せることで、大柄なバレンティンやDeNA筒香にも劣らぬ飛距離を生んでいる。

 7回無死二塁では、野上の直球を中前適時打。「追加点のチャンスだったのでコンパクトに打つことだけを考えた。大きいのを狙わず逆方向を狙ったのが良い方向にいった」と冷静に振り返った。1発も単打も、臨機応変に打ち分ける。15年から2年連続の偉業達成へ導いた「トリプルスリー打法」のバージョンアップに成功し、絶好調ゾーンに突入した。【浜本卓也】