甲子園でなぜか勝てない。横浜で快音を響かせた阪神打線だが、ホームに帰った24日の広島戦は1得点で敗戦。これで甲子園では5連敗、今季通算では15勝24敗1分けと借金9つを背負う。首位広島とは11ゲーム差まで広がり、今日25日から連敗すれば自力優勝の可能性が消える危機。状況はますます厳しくなったが、長期ロードの前の最後の2試合だ。いつも熱い虎ファンの声援に今こそ応えたい!

 これだけの大歓声に、慣れ親しんだ黒土、芝生…。甲子園という本拠地が持つ圧倒的なアドバンテージを、今季はなぜか生かしきれない。大逆転Vへ、3連勝のみを狙った広島3連戦。打線がいきなり静まりかえり、指揮官は重苦しい表情で首をかしげた。

 金本監督 う~ん…なんかここに来たら、みんな打てなくなるな。なんかあるのか。う~ん…。横浜、神宮みたいにカンカン打ってほしいけれど、そういう空気みたいなものがあるのかな。

 打線は横浜で猛爆気配を漂わせていた。右足腓骨(ひこつ)骨折中の糸井が戦列復帰した21日DeNA戦は10安打7得点。22日同戦はチーム今季初の1試合4発が飛び出し、14安打11得点で2連勝を飾っていた。勢いのまま、この日は広い甲子園でも中堅にナバーロを配置。超攻撃型オーダーで難敵ジョンソンと勝負した結果は1得点だった。

 2点を追う1回裏は先頭から2連打で反撃ムードを高めながら3番福留、4番糸井、5番ロサリオが3者連続凡退。「1点でもほしかったというのはあるね」。指揮官も悔やんだ痛恨の無得点スタートでジョンソンを乗せてしまうと、中盤以降は要所を締められた。

 5回無死一塁では2失点と粘っていた先発岩田の代打大山がまさかの投ゴロ併殺打。3点を追う7回は代打俊介の適時打で1点を返した後、初見の2番手左腕フランスアに1番糸原から4者連続三振を奪われる始末。指揮官は「まあ、ジョンソン良かったな。フランスアも2イニングいかれて」と相手投手陣を褒めたたえるしかなかった。

 打線の上昇気配を吹き飛ばされ、カープ相手に6連敗、甲子園に限っても5連敗。熱い大声援に応えようとする気持ちが空回りしてしまうのか、球場の広さを意識してしまうのか…。これでシーズン全体を見ても甲子園で15勝24敗1分けと苦しさは増すばかりだ。

 3番福留から6番ナバーロまでの4人は計15打数1安打。甲子園での重苦しい空気を消し去るにはもちろん、主力勢の意地が欠かせない。首位カープに今季最大の11ゲーム差をつけられ、今カードに3連敗すれば自力優勝消滅となる崖っぷち。「切り替えてやっていきます」。金本監督は最後、前向きな言葉を会見場に響かせた。【佐井陽介】

 ▼阪神はあす26日にも今季の自力優勝の可能性が消滅する。今日25日から広島に●●が条件。27日以降、広島は阪神戦残り11試合に全敗しても、他球団に全勝すれば98勝44敗1分けで最終勝率6割9分。同じ期間に阪神は残り60試合に全勝しても97勝45敗1分けの6割8分3厘で広島を下回る。

 ▼阪神は本拠地甲子園で15勝24敗1分けで勝率3割8分5厘と苦戦。00年以降最悪となった16年の勝率4割1分9厘(26勝36敗1分け)を下回るペースで黒星を重ねている。今季甲子園でのチーム打率は2割3分8厘で他球場の2割4分8厘から悪化している。