阪神が重苦しいムードのまま、敗れ去った。中日松坂を打ちあぐね、3回は好機で連続見逃し三振。1点を追う4回には1死後にナバーロが出塁し、福留の左翼のライナーで猛ダッシュ。藤井に捕られたときは三塁まで達していた…。凡ミスの走塁死で反撃機を逃した。

 中日に連敗して6月25日以来の単独最下位に転落した。借金も今季最多8個に膨れ、シーズン87試合目で、ついに自力優勝の可能性が消滅した。首位広島と13ゲーム差。8月初戦に厳しい現実を突きつけられた。金本監督も「負の流れに、のまれている気がしますけどね。我々が何とかしないと。変えていかないといけないんだけど」と話した。

 リーグ最少のチーム338得点は、首位広島と121点もの開きがある。チーム打率2割4分5厘、52本塁打はリーグワースト。特に主砲として期待した新外国人ロサリオが本領発揮できず、破壊力不足に陥っている。この日も象徴的だった。3回、1点差に迫ってなおも無死二、三塁。松坂の高めカットボールを打ち損じて二飛に倒れた。犠飛すら打てずに空回り。指揮官も「3回の攻撃がすべてじゃないですかね、やっぱり。もちろん、誰もが…」と嘆くしかなかった。

 前半戦の戦いを支えた先発陣も最近は耐えきれない状況だ。この日は才木が2被弾に沈んだ。それでも、金本監督は前を向く。最下位転落にも「関係ないよ、別に。あと何試合、残っているの。悔しい思いを出してくれると思うし、出していかないといけない」と話した。残り56試合。阪神の意地が試される。【酒井俊作】