松坂さん、やりましたよ! 楽天2年目の田中和基外野手(23)が、両打席アーチを放った。左右両打席本塁打は、プロ野球8年ぶり。まずは3回の右打席だった。アルバースの135キロシュートをバックスクリーンへ10号ソロ。8回の左打席。近藤の145キロ直球を右翼席へ11号ソロを突き刺した。自身初の1試合2発&キャリア初の2桁本塁打で快挙を彩った。

 田中 右と左は別物。球種、コースも全然違う。スイッチヒッターでプロに入る時から、いつかはやってみたいと思っていた。素直にうれしい。

 剣士らしく、抜群の勝負強さを発揮した。ともに初球、ともに同点ソロ。人並み外れた集中力を見せつけた。小学校1年生から始めた剣道。6年間続け、2級の段級位に。「松坂さんが、小さいころに剣道を習っていたと聞いたことがきっかけですね。集中力、精神的なものも鍛えられると聞いて。野球にもつながると思って」。怪物に憧れ、怪物並みの勝負勘を養い、怪物級の放物線を描いた。

 邪念を取り除き、精神を統一させ、打席に入る。寮の部屋、遠征先のホテルでもテレビはつけない。中学時代から続けている慣習。「興味がないんで」とバッサリ斬り捨てる。日々、自身の打撃フォームの映像を分析する暮らし。バットを思い浮かべ磨く。

 チームは延長12回の激闘を制し、5位オリックスに2・5ゲーム差とした。後半戦に入り、13戦で11勝2敗。6月12日の中日戦から「1番」に座り続ける新切り込み隊長の田中が、強さの象徴だ。【栗田尚樹】

 ▼田中が3回右打席、8回左打席で本塁打。左右両打席本塁打は10年5月18日赤田(オリックス)以来18人目(41度目)。日本人選手としては松永(オリックス=6度)高橋慶(広島)白井(日本ハム)松井稼(西武=3度)金城(横浜=3度)赤田に次いで7人目。田中は現在23歳11カ月で、阪急時代の松永が21歳7カ月の82年5月15日日本ハム戦、22歳11カ月の83年9月23日南海戦でマークして以来、3番目の年少記録。