泥沼に陥っていたオリックスがソフトバンクに連勝して5カードぶりにカード勝ち越しを決めた。4回、西村の適時打で追いついた直後の2死満塁。9番若月健矢捕手(22)の珍しい走者一掃“シングルヒット”で勝ち越しに成功した。中継ぎリレーでリードを守り切り7月17、18日日本ハム戦以来の2連勝だ。福良監督も「いい勝ち方やったんじゃないですか」とひと安心だ。

 ヒーローのはずの若月だが何ともバツが悪そうだった。「珍記録ですか? 走者一掃のシングルなんてこれまでもないですよね」。若月がソフトバンク武田の直球を振り抜くと打球は低い弾道で右翼フェンスを直撃。一塁走者西村もヘッドスライディングでホームに生還するなど3点が入った。

 ところがだ。打った若月はなぜか一塁ベースを蹴ると、きびすを返して一塁に帰塁。「クッションの跳ね返りも良かったので弱気になってしまいました…」。チームメートの冷ややかな視線を感じたが、7月1日日本ハム戦以来のタイムリーに「1本打てて良かったです」と結果オーライを強調した。

 今季はここまで73試合に出場している。実績のある伊藤光が7月にDeNAへトレード移籍。若月の正捕手としての成長がチーム浮沈の鍵を握る。この日は先発松葉を約1年ぶりの勝利に導くなど守備でも奮闘した。チームは20日ロッテ戦から8連敗後に1勝を挟んで4連敗。終わりの見えなかった暗闇だったが、元気印の活躍でようやく白星が積み重なった。【桝井聡】