阪神金本監督の用兵も接戦勝ちの大きな要因になった。DeNA先発は2連敗中と苦戦していた東だ。対戦前、あるデータに着目した。今季は左打者に打率2割8分1厘と打ち込まれていた。右打者を2割1分1厘と抑えているのと対照的だ。ロサリオを外して5番一塁でナバーロを抜てきする。打順変更が的中した。

 2回無死一塁。ナバーロが東の速球を捉え、左中間フェンス直撃の二塁打を放った。無死二、三塁の絶好機を築いて、2点先制をお膳立てした。金本監督は「ナバーロは左投手どうこう、あまり関係ないタイプ。左の方が良かったりするときもある。(データとして)左打者の方が相性いいのもあった」と明かす。前日9日巨人戦で同点弾を打った勢いは消えていない。

 球場の特徴も起用の判断材料になった。中堅はナバーロではなく俊介。指揮官は「横浜は風が強いし、薄暮もある。どちらかといえば、守備重視で俊介を選んだ」と説明した。俊介は7月31日中日戦以来の先発。2回に右越え先制タイムリー二塁打を放ち、打撃で貢献。ツキもあった。

 東に借りを返した。前回対戦の7月20日は完敗。指揮官も「狙うか捨てるか」と指摘していた。速球にチェンジアップを織り交ぜる投球に惑わされたが、この日は速球を強振して攻略。「真っすぐに力負けしないという」と金本監督。新人左腕に意地を見せつけ、再び連勝だ。【酒井俊作】