日本ハムが首位西武との直接対決を前に、手痛い黒星を喫した。ロッテ20回戦(札幌ドーム)は、約2カ月ぶりに左翼で先発出場したオズワルド・アルシア外野手(27)の守備が誤算だった。同点に追いつかれた直後の3回無死二塁で、ロッテ藤岡が放った左翼前方の飛球にダッシュも間に合わず、打球を後逸。決勝の適時三塁打を献上した。負の流れにのみ込まれたチームは、勝負の夏場に4カード連続で勝ち越しなしとなった。

 フラフラと上がった飛球に、アルシアもフラフラっと距離を詰めていた。2-2の3回無死二塁。ロッテ藤岡が放った打球は、左翼線際に落ちそうなフライだった。アルシアは徐々にスピードを上げ、最後は足からスライディングして捕球を試みた。「スライディングして(打球を前で)止めるつもりだった」。だが、思いは通じず、打球は後方へ転がった。結果的に決勝の適時三塁打となった。

 3回は、約2カ月ぶりに守備に就いたアルシアのもとを立て続けに打球が襲った。無死三塁で中村の左翼定位置への飛球を捕球したが、本塁への送球は力がなく、4点目を奪われた。さらに、井上の左前打では打球をファンブル。二塁進塁を狙った井上を、とっさの送球でアウトにしたが、直後に右肘に違和感を覚えた、5回表無死一塁の場面で途中交代。アイシング治療で様子を見た。

 アルシアの左翼守備は6月12日阪神戦以来だった。右肘打撲や左太もも裏痛など、春先からコンディションに不安を抱え続けていることもあり、指名打者での出場が続いていた。試合後には「(守備の)感覚は良かったです」と振り返ったが、再び右肘に不安を抱えたことも誤算だ。アルシアの代わりに入った横尾も、直後の平沢の左翼線への打球に追いつきながら落球(記録は二塁打)。ロッテの5点目につながってしまうなど、この日は左翼守備が負のスパイラルに陥った。

 主に左翼を守ってきた近藤を指名打者で起用し、負担を軽減させたい狙いがあったはずだ。8月は4本塁打と打撃好調のアルシアを打線から外したくないという事情もある。守備の不安を打撃で取り返せるだけの力はあるが、裏目の結果になってしまった。栗山監督は「いろんなことも含めて、それが野球なので」と、多くを語らなかった。今日17日からは5・5差となった首位西武との3連戦。「3つ全て取りにいくつもりでやる」。負けられなくなった。【木下大輔】