ソフトバンク千賀が、9勝目をプロ8年目で初の完封を果たした。9回を無四球の6安打。あと1死からが難産だった。9回2死から連打を許し一、二塁。最後はT-岡田を148キロ直球勝負で三塁ゴロに仕留めた。「最後、ゼロで抑えられて良かった。疲れたの一言。野球って長いんだな、とあらためて実感した」と笑みを浮かべた。

 先発通算67試合目でのプロ初完封。「高校の時も記憶がない。最後は三振を狙ったが、なかなか取れず、大宮の時を思い出した」。本格的に先発転向した16年、4月13日大宮での西武戦では、9回2死から連打で1点を失い完封を逃した。あれから2年。同じく育成出身の捕手甲斐が「今日のフォークはエグかった」と話す決め球を武器に、ついに完封の快感を知った。

 素直な性格で、気持ちが表面に出てしまう。6月1日のDeNA戦では6回途中に交代を告げられると、自分への怒りからか2番手寺原が来るのを待たずにベンチへ戻った。この時の行動を愛知でテレビ観戦していた父直伸さんは激怒。「あんな態度ではダメだ。監督にも寺原さんにも、見ている人にも失礼」と電話で一喝。千賀は「怒られました」と反省した。25歳の今でも本気で怒ってくれる父へ贈る、感謝の「完封」だった。【石橋隆雄】