日本ハムが盤石の継投で、負けられない首位西武との3連戦初戦を取った。打線が7回に勝ち越すと、勝利の方程式が登場。7回は宮西尚生投手(33)、8回はマイケル・トンキン投手(28)、9回は守護神の浦野博司投手(29)が無失点リレーで締めた。2週間前の直接対決の初戦は、終盤に悔しい逆転負けを食らった。同じ舞台で、きっちりとリベンジを果たし、負けられないカードで先勝した。

 今季の西武相手に、僅差で3イニングを逃げ切るのは、至難の業。12球団随一の長打力を誇る山賊打線を封じた日本ハムの勝利の方程式は強力だった。先陣を切ったのは宮西だ。1点を勝ち越した直後の7回に登板。気迫は、いつも以上だった。6番森を左邪飛、7番中村と8番炭谷は空振り三振。3者凡退で終えても、表情は引き締まったままだ。「今回のカードは、余裕がない状態だからね」。

 2週間前の悪夢が、頭にあった。この日と同じ、メットライフドームでの首位西武との3連戦初戦。2点リードの7回裏無死一、三塁で登板した。犠飛で1点差とされたが、2死満塁から浅村は遊ゴロ。併殺打でピンチを脱出した-と思われた直後にミスが出て、逆転負け。その後、チームの状態も停滞した。

 「エラーした方が負ける。ミスから、これだけゲーム差も開いた。こっちも流れが悪くなった」。当時は2・5ゲーム差からの逆転負け、この日は5・5ゲーム差で迎えたカード初戦。チームには、負けられる「余裕がない」。自身の出番までに奮闘してくれたチームメートにも報いたかった。「打線も点を取ってくれたし、今日は(先発)堀が、よく投げてくれた」。野手陣や、先発で試合を作った2年目左腕への感謝を結果で示した。

 8回のトンキンも1安打は許したが、危なげなく守護神の浦野へリレーした。7月下旬から抑えを任される浦野は「点差はないと思って投げた。気持ちで投げました」。9回2死一塁で中村を迎え、3ボールとなりながら最後は147キロの直球で空振り三振で6セーブ目。栗山監督は「よく投げてくれた」と、3人をねぎらった。だが、百戦錬磨の宮西は言う。「明日、明後日が、もっと大事。勝つしかない」。フル回転の覚悟は出来ている。【木下大輔】