苦しんだ末に、10勝目をつかんだ。西武菊池雄星投手(27)がオリックス打線を7回5安打無失点に抑え、3年連続となる2ケタ勝利を果たした。今季は左肩の不調で5月に2軍で再調整。6月に復帰後も、投球フォームが安定しない日が続いた。試行錯誤の末に達した“新・2段フォーム”で、最後の1カ月を戦う。

アクシデントから招いたピンチでも、菊池は動じなかった。2回2死一塁、オリックス武田に2ボールとした直後、左の腹筋がつった。ベンチに下がり、水分を補給。「痛みもなく、問題なかった」と3分後には持ち場に戻った。連続四球で塁を埋めたが、若月を低めスライダーで空振り三振。1点もらった直後の5回1死一、三塁も、大城を低めスライダーで空振り三振に仕留めた。

大事を取り7回98球でお役御免。2ケタ10勝目に「良い意味で数字にとらわれなくなる」と打ち明けた。7月以降では、ようやくの2勝目。苦しみが勝ち星のペースダウンに表れた。7月末、1度上げた右足を再度上げる2段モーションをやめた。前々回からは、下ろした右足を中堅方向にピンと伸ばしている。そこに微調整を加えた。

当初は、右足を斜め後ろに下ろした。前回からは、いったん真下に下ろした後、スッと後ろに伸ばしている。いわば、下の“2段フォーム”。「右肩が無意識に突っ込んでしまう。いったん(真下に下ろすことで)0に戻す」のが狙い。フォームの悩みが消え、ボールが安定。この日は、炭谷のサインに1度も首を振らなかった。「去年の良い時に近い」と手応えを得た。

苦しみは無駄ではない。こう振り返っていた。

菊池 全て思い描いたとおりのシーズンはない。もがき、突破口を探す中で、糸口がつかめた。その経験をプラスにしていければ。

今季初の1-0勝利。「最強打線がいるけど、投手でものにできるように。残り(投げる)4、5試合は全部、勝つつもり」。優勝へ、ラストスパートのエンジンとなる。【古川真弥】

▼菊池が今季10勝目を挙げ、3年連続のシーズン2桁勝利。西武で2桁勝利を3年以上続けたのは12~14年の岸以来。左腕では86~88年に3年連続、91~94年に4年連続で記録した工藤に次いでチーム2人目となった。