ヤクルトが2位を確定させ、クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージの本拠地開催を決めた。3年目の高橋奎二投手(21)が5回1失点で、3試合目でプロ初勝利を挙げた。DeNA筒香から3打席連続三振を奪った投げっぷりの良さに小川監督もCSの先発候補入りを明言。昨季96敗からの大逆襲を狙うヤクルトの秘密兵器となる。

侍の主砲に高橋が真っ向勝負を挑んだ。1回1死一、三塁。目の前で筒香が威風堂々とバットを構えていた。ひるんでもおかしくない場面。自分を信じた。「持ち味は腕を振ること」。初球スライダーの後は全て直球。カウント1-2からの4球目、148キロで空振り三振。ロペスのバットも空を切らせ、3者連続三振で絶体絶命のピンチを切り抜けた。筒香からは3打席連続で三振を奪い「一番力を使った。挑戦者の気持ちでいったのがいい結果につながった」とほほ笑んだ。

京都・龍谷大平安時代の異名は「西のライアン」。右足を高々と上げる投球フォームで甲子園の優勝投手になった。だがプロ入り後、腰痛などの故障に苦しんだ。昨年10月。故障防止もあり「ライアン投法」封印を決断。自分の代名詞を捨てるのは勇気がいった。「もし変えてフォームがばらばらになったら…」と恐怖心も募った。

だが、後輩や同期が1軍で活躍する姿を指をくわえて見る日々は、もううんざりだった。「西のライアンと呼ばれなくなるけど、高橋奎二としてはここからです」。高津2軍監督や2軍投手コーチらと習得に励んだ投球フォームを信じ、勇敢に強打者に立ち向かった。その先にプロ初勝利と2位確定が待っていた。

CSファーストステージで対戦の可能性があるDeNAの主軸を堂々と封じ、残り5試合のため今日にも登録抹消となる。小川監督からは「球の勢いが素晴らしかった。もちろん(CSの先発)候補の1人になりますね」と認められたが、高橋は「もっと勝てる投手になりたい」と先を見据えた。昨季96敗からの2年越しの下克上を狙うヤクルトに頼もしい新星が現れた。【浜本卓也】

◆高橋奎二(たかはし・けいじ)1997年(平9)5月14日生まれ、京都府出身。小1から「篠少年野球クラブ」で野球を始め、中3まで所属。龍谷大平安では甲子園に3度出場し、2年春は背番号10ながらチーム最多の23回1/3を投げ、同校をセンバツ初優勝に導いた。趣味は音楽鑑賞で、特に聴くのは三代目J Soul Brothersや西野カナ。好きな女性のタイプは明るくて清楚(せいそ)な人で、芸能人では新川優愛や中村アン。好きな食べ物は麺類。178センチ、73キロ。左投げ左打ち。血液型O。