今季限りでの辞任が決まった巨人高橋由伸監督(43)が3日、今日4日の広島戦に備えて移動後、広島市内のチーム宿舎で取材に応じた。山口オーナーに辞意を伝えたことなどを明かした。

巨人高橋監督の航海が3年で幕を閉じた。3年契約最終年は4年ぶりの優勝を最重要課題に掲げて戦ったが、優勝争いに3年連続で絡むことはなかった。高橋監督は責任を重く受け止め、辞意を申し出た。山口オーナーも強く慰留をしたと話すが「非常に責任感の強い監督なので。考えが非常に強かった」と最終的に受け入れた。CS進出、日本一の可能性を残すが、監督交代は変わらない。

名門の宿命である優勝は果たせなかったが、近未来を担う大砲は育て上げた。昨年まで通算1本塁打の岡本をスタメンに固定。6月からは89代4番に据え、32打席連続無安打の大スランプでもその座から外さずに辛抱した。壁を越えた岡本は、ここまで3割9厘31本塁打96打点と看板を張り、松井、高橋由、阿部らが名を連ねる生え抜き4番の系譜を受け継ぐまでに成長させた。

現役引退翌年の16年に第18代監督に就任。グラウンド外の選手による不祥事が続き、2年目には球団ワーストとなる13連敗も味わった。だが岡本ら希望の芽も残した。9月12日のオーナー会議後に山口オーナーは続投要請の意向も示唆していたが「そうやって言っていただいたこともあったり、いろいろとお話しさせていただいた」と同監督。この日も、山口オーナーは「高橋由伸はジャイアンツの宝。再びユニホームを監督として着てもらうことを願ってます」と将来的な復帰も希望した。

均衡するCS争いは残り2試合と迫った。DeNAが敗れ単独3位になり、今日4日は広島戦(マツダスタジアム)に臨む。高橋監督は「考えていることとかは、特に変わることはないので、就任した最初の1試合目と同じ気持ちでやろうと思ってる。今まで通りなんとかね。自分たちのできることをやって、次につながればいいなと思ってます」と目の前の戦いに視線を向けた。荒波続きの航海も希望の若き船員を残し、現在残せる最高の結果で新たな船長へと託すために全身全霊を尽くす。【為田聡史】