ソフトバンクを支える人々にスポットを当て、随時掲載する「支えタカとよ」。今回は元育成投手で球団職員の伊藤大智郎さん(25)です。

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千賀、甲斐、牧原と同じ10年育成ドラフトで、伊藤さんはホークスに入団した。3人より順位は高い3位。右サイドスローからキレのある球で、当初は千賀よりも評価が高かった。「そんなこともありましたね」。期待され続け、球団の育成では最長の7年間プレーした。17年4月に右肘を手術したが、その年で引退。現在は球団職員として公式ファンクラブ「クラブホークス」の業務を担当している。

「春季キャンプの最初はつらかった。嫌でしたよ」。前年まで「127」のユニホームを着ていた宮崎キャンプで、「会員募集中で~す」と大声を出した。「選手たちが通る前ですからね。恥ずかしかった」。だが、元選手と知っているたくさんのファンから声をかけられ励まされた。「球団に拾ってもらったんだから、頑張ろう」と気持ちを入れ替えた。

来年度の入会記念グッズにも伊藤さんの意見が多く取り入れられた。自慢の一品は「おきあがりこふうさん」。「子どもが喜ぶグッズを作りたかった。けっこう大きいんですよ」。高さ70センチのユーモラスなグッズ。2歳の娘が自宅でアンパンマンのおきあがりこぼしでうれしそうに遊んでいるのをヒントにした。よりかわいく、愛用してもらうため試作品を4回作り直した。

トートバッグには、小さくふうさんのイラストを入れただけ。「新規入会のライト層の方々にも、使いやすいもの。普段から使いやすいものをと考えました」と、あえて、ホークスのロゴなどを大きくせず、球場以外でも愛用できるものを作った。

この1年間、ファンと身近に接してきた。「今の仕事は楽しいですよ。心の底からホークスのことが好きだという人が多いんだなと」と、選手時代以上に肌で感じた。今季の有料会員は14万7000人。来季の目標は15万人突破だ。「自分が元選手だということを生かしたい。もっと選手とファンを近づかせたい。いろいろ提案していきたい」。ホークス好きを1人でも多く増やすために、いまは全力投球している。【石橋隆雄】

◆伊藤大智郎(いとう・だいちろう)1992年(平4)12月29日生まれ、岐阜県出身。愛知・誉(ほまれ)高から10年育成ドラフト3位でソフトバンク入団。5年目の15年3月12日、巨人とのオープン戦(ヤフオクドーム)で1軍マウンドを経験した。