ジャイアント・キリングならぬ“ジャイアンツ・キリング”だ。巨人ナインが超下克上を起こすことを誓った。勝率5割未満のチームのCS進出は過去6度も、日本シリーズ進出はゼロ。借金4で3位を死守した名門に、10年に貯金8の3位から日本一を遂げたロッテの「史上最大の下克上」以上の挑戦が待ち受ける。

大波乱は皆が経験している。CS開幕投手の今村は「今年の自分。3軍キャンプからのスタートで、今年でダメなら終わりだと思っていたので、人生一の下克上だと思う」と笑った。上原は「勝った方が強い。結果が全て」と順位自体を心の中でリセット。近年のスポーツ界ではラグビーの15年W杯で日本が南アフリカを撃破したのが最大級のジャイキリといわれる。「同じ団体競技として勝てば喜びを共有できる。ああいうふうになれば」と言う。

高橋監督は追われる心理を知る。慶大時代の東大戦は下克上の危機だった。「1勝1敗の3戦目は重圧があった」。だから今の心境はフラットだ。「(3位は)試合で消耗していく分、不利かも。でも現役時は1位でいった方がプレッシャーはあった。負ければ1年間やってきたことがなくなる感じがする」。失うもののない巨人にジャイキリの予感が漂う。【広重竜太郎】