ソフトバンクが圧倒的な打撃力を示し、2勝2敗のタイとした。16安打15得点で、前日11安打13得点された西武に、2桁得点でお返しした。上林誠知外野手(23)が、先制3ランを含む3安打6打点と打線をけん引。プロ野球史上初のポストシーズンでのサイクル安打こそ逃したものの、躍動する2番打者が圧勝に導いた。

上林が、お返しだ! 前夜の西武栗山に並ぶポストシーズン最多タイの6打点を挙げ15得点の大勝に貢献した。3回1死二、三塁、左腕榎田のカーブを右翼席へ高々と運ぶ先制3ラン。「変化球は頭にあったので反応で打った」。4回に中前適時打。5回には右中間へ2点適時三塁打。二塁打が出ればプレーオフ史上初のサイクル安打となり「狙っていました」と、その気だったが二ゴロ、二飛に終わり「持ってない」と苦笑した。

ファイナルSは第2戦まで9打数1安打。「今日も松田宣さんがスタメンを外れた。自分が外れると思っていた。そういう姿を見て結果が出ないとそうなると感じた」と、危機感を覚えての第3戦だった。昨年はCSファイナル2戦で結果を残せず3戦目から出番がなかった。悔し涙を流した昨年とは違う。今季は初めて143全試合に出場した。

交流戦ごろだった。上林は突然、シーズン中に戦力外になる夢を見た。「ビックリして起きたら、めちゃくちゃ泣いていた。野球がなくなったら、何の仕事したらいいんだろう…。そういう夢を昔、ギータさん(柳田悠岐)も見たと話していた。今は僕ももう見ませんけど」。レギュラーを守り抜く恐怖心を乗り越え大きく成長した。

CSファイナル前日、宮崎から合流した師匠内川に焼き肉へ誘われた。この日は「オレとキャッチボールして1戦目打っただろ」と長谷川勇が縁起をかついで相手をしてくれた。頼れる仲間に囲まれながら23歳は日々、成長する。「まだ若いので今はガムシャラにいくだけ」。一気に日本シリーズへのキップをつかむ。【石橋隆雄】