道産子右腕が正月返上で覚悟の1年に臨む。日本ハム鍵谷陽平投手(28)が13日、自主トレ中の千葉・鎌ケ谷でネットスローなどを行い、来季へ備えた。年明けは2日から札幌市内で始動予定。投球フォームの修正に苦慮した今季は2軍生活が続き、わずか28試合の登板に終わった。7年目の来季は「失った信用を取り戻したい」と原点回帰で直球を磨き“勝利の方程式”入りを目指す。

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40メートル先のネットに向かって、投球フォームを確認するように1球1球投げ込んだ。日本ハム鍵谷は「これくらいの距離を投げるのは久々。指のかかりや肘の感覚は、戻ってきた感じがある。1月に向けて、球数と距離を伸ばしていきたい」。1人黙々と千葉・鎌ケ谷の2軍施設で汗を流しながら、復活への手応えに表情は明るかった。

守護神の増井がオリックスへFA移籍した今季、新守護神候補として集めた期待を大きく裏切った。今年3月に右前腕の内側を痛めてスタートダッシュに失敗すると、故障の影響でフォームまで崩し、先の見えない2軍生活を強いられた。今季28試合の登板で2ホールド。「今年は本当に調子が悪かった」と悪戦苦闘の1年だったが「開き直ってシュート、カットボール、カーブと、いろいろな球種を投げてみて、来季へ向けて小さな種はまけたかなと思っている」と、バージョンアップへ自信を見せる。

このオフは故障防止のため初動負荷のトレーニングを取り入れたほか、持ち味の直球に、とことんこだわると決めた。「真っすぐあっての変化球。今年は空振りが取れると思ってもファウルになることが多かった。直球を最大限、伸ばしたい」。2月のキャンプインまでに「仕上げたい」と照準を定め、年明けは正月返上で動く予定だ。

気がつけば、同期入団7人のうち支配下登録で現役を続けるのは、海を渡ったエンゼルス大谷をのぞき、鍵谷1人となった。「いつ何があっても、おかしくはない。危機感は持っている」。来季からは1軍の出場選手登録が1増され29人に。セットアッパーとしては活躍の機会が広がりそうだ。「誰にも負けない投球をして、1番いいところで投げたい」。60試合登板を記録した17年を超える活躍で、復活を遂げられるか。【中島宙恵】