ニッカンコムのページビュー数で2018年を振り返る「PVでPB ’18球界プレーバック」。中日松坂大輔投手(38)が9位にランクインした。昨年ソフトバンクを自由契約になり、テスト入団で中日のユニホームに袖を通した「平成の怪物」は、自身の復活とともに中日を変えた。6勝を挙げ、カムバック賞も受賞。練習法など若手投手陣の手本となり、観客動員、グッズ販売など球団の営業部門にも変革をもたらした。

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松坂は不死鳥のごとくマウンドに戻ってきた。15年にメジャーから日本球界に復帰。3年間在籍したソフトバンクでは右肩痛に悩まされ、1試合だけの登板で自由契約になった。昨オフに中日にテスト入団し、春季キャンプに参加。限界説がささやかれながら、シート打撃やオープン戦と結果を残した。

4月5日の巨人戦で先発登板を果たすと、同30日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では、最速147キロをマークし、日本球界12年ぶりの白星を挙げた。その後も勝ち星を重ね、11試合で6勝4敗、防御率3・74の成績を残した。カムバック賞を受賞。6年連続Bクラスと低迷するチームで輝いた。栄光と苦難を知る右腕は、その経験を惜しみなく伝授。小笠原や藤嶋ら次代を担う若手投手の成長に一役買った。

「松坂効果」がもたらしたのはグラウンド内だけではなかった。中日の今季観客動員は214万6406人で、1試合平均は前年比8・3%増の3万231人。松坂が登板したナゴヤドーム9試合の平均は3万3043人で、動員数を押し上げた。キャンプインからグッズ収入でも貢献。18年シーズンの公式ファンクラブ入会者は過去最高の6万3796人を記録した。「松坂さんが開幕から1軍で投げ出すと、入会者が急増しました」と営業担当者は話す。人気面でも低迷が続くチームにとって、起爆剤になった。

球団首脳の1人は、松坂がグラウンド外で見せる行動も絶賛した。「チケット、グッズの売り上げだけじゃなく、ファンイベントにも協力的。立ち居振る舞いが素晴らしい。あれだけのスーパースターがサインなども丁寧に対応している。全国区のスター選手というものを体現している」。中日は今季から年俸査定に営業ポイントを導入した。選手個々のファンサービスから視聴率、ネットのアクセス数など数字に表れるものを多方面で調査。全選手の中で営業査定NO・1は松坂だった。6500万円増の年俸8000万円プラス出来高払いで契約を更改した。

来季は2年ぶりに背番号「18」に復帰。松坂は「今年の倍投げて、倍勝てるように」と、先発ローテ入りと2ケタ勝利を目標に掲げる。来春キャンプから販売される新背番号のレプリカユニホームやタオルも球団営業部は早々に発注。キャンプ初日から購入希望のファン全員の手に渡るように万端の準備をする。「平成の怪物」は完全復活を目指し、球団の改革もさらに推進する。【伊東大介】