故人との別れを終え、決意新たに定位置奪取へ挑む。日本ハム清宮幸太郎内野手(19)が28日、成田空港から1次キャンプ地の米アリゾナ州スコッツデールへ出発した。チームのチャーター便は、強風の影響で約20分出発が遅れたものの無事離陸。栗山英樹監督(57)が「いす取りゲーム」と位置づける今キャンプ。飛躍の2年目へ“定位置争奪戦”が、ついに本格スタートだ。

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球団スーツに身を包み、米国行きのチャーター機に乗り込んだ清宮の横顔は、精悍(せいかん)だった。「楽しみという気持ちもありますけど、シーズンに向けての準備が始まるので、引き締まった思いの方が強いです」。浮かれ気分は、少しもなかった。

激しい定位置争いのゴングが、間もなく鳴る。栗山監督が「いす取りゲーム」と表した今キャンプ。一塁では主将の中田、外野では新戦力の王柏融や近藤、大田、昨季まで主力だったレアードが抜けた三塁では、浅間ら強力なライバルが待ち受ける。

昨年は開幕前に故障や体調不良に泣かされ続けただけに「あまり調子に乗りたくないっていうのもあるし(体の)ケアをしながらやりたい」と、体調を考慮しながらシーズン前の準備期間を完走するつもり。ファーストミットのほか、内野手用、外野手用と3つのグラブを持ち込んだ清宮は「やることをやれば、結果は残せる」と、複数ポジションでのレギュラー奪取へ静かに闘志を燃やした。

前日27日、U18日本代表時代の監督だった小枝守氏(67)の通夜に参列した。「少し早く行って、お顔を見られました。シーズンが始まる前にきっちりお別れができ、気持ちを整理してアリゾナへ向かえる」。故人に成長を誓い、力強く旅立った。【中島宙恵】