地元横浜出身のDeNAドラフト3位大貫晋一投手(25=新日鉄住金鹿島)の開幕ローテ入りが、濃厚となった。

オープン戦の広島戦(横浜)で対外試合初先発。毎回走者を背負う苦しい展開となったが、5回を無失点に抑えた。アレックス・ラミレス監督(44)の評価も急上昇。同1位上茶谷大河投手(22=東洋大)のローテ入りは決定的。球団史上初となる新人2人のアベック開幕ローテが現実味を帯びてきた。

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大貫は「試合前から、本当に緊張して、えずいていました」と振り返った。かつて「憧れの場所」と夢見ていた横浜スタジアム。日体大時代に1度だけ上がったマウンドは、中継ぎで1イニングだけだった。「聖地」と称す場所。入団後、初先発としてそんな舞台に立った。神奈川県横浜市出身の25歳。生粋のハマっ子は「平日のデーゲームなのに、たくさんのファンの人が応援しに来て、声援が力になりました」と、新人らしく喜びをかみしめた。

投球は一転、ベテランのようだった。0-0の3回2死走者なしから田中広、菊池涼に連打を食らい一、三塁のピンチも、カーブで難を逃れた。4回には3四球が絡み満塁のピンチを背負ったが、無失点に切り抜けた。「緊張がすごかった」の言葉がうそのよう。毎回走者を背負いながら、得意のツーシームを軸にフォーク、カーブなど多彩な変化球をちりばめ、リーグ3連覇の広島を相手に5回無失点と試合をつくった。

ラミレス監督も「彼は1年目だからルーキー。でもルーキーとは思えない振る舞い、セルフコントロールが素晴らしい」とマウンドさばきを大絶賛。そして続けた。「キャンプで打撃投手をした際はローテ争いに入るとは思わなかった。でもゲームで投げるたびに、安定度が増している。ローテ入りに向けて忘れることができない投球となった」と珍しく言葉が弾んだ。

同期入団の上茶谷は、開幕ローテ入りが確実視されている。大貫にとっては、オープン戦最後の登板で“最終テスト”を迎え、首脳陣の期待に応えた。「無駄なフォアボールや変化球の精度が良くなかったという課題を見つけた中で、粘り強く投げられたことは収穫。0に抑えられたことは良かった」。球団の歴史をさかのぼっても、開幕から6戦以内でルーキー2人が先発した記録はない。球団史上初の上茶谷&大貫のアベック開幕ローテ入りがクッキリと見えてきた。【栗田尚樹】