中日与田剛新監督(53)が、就任後初白星を手にした。

平田の先制打を含め14安打9打点と打線が爆発。自身が現役時代に背負った背番号29の後継者、山井も5回1失点で試合を作り、投打がかみ合って9-1で快勝した。「ウイニングボールは死んだときに棺おけに入れてもらう」と、最高の宝物を手に、新指揮官は最高の1日を終えた。

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背番号29の山井から、現役時代、同じ背番号を着けた与田監督へウイングボールが手渡された。就任後初勝利。渡されたボールを、指揮官は握りしめた。

与田監督 素直にうれしい。山井の今季初勝利の球を奪ってしまった。誰にもあげない。僕が死んだときに、棺おけに入れてもらう。本当にありがたい。たくさんもらえるようにしたいね。

大敗した初陣と全く違う展開だった。先発マウンドに送ったのは投手陣最年長40歳の山井。横浜での相性は最高だ。13年にはノーヒットノーランを達成し、昨季も40代以上9人目の完封勝利を挙げた球場。序盤から、最速144キロの直球もさえた。5回2安打1失点とベテランが試合を作った。「監督の初めて勝利。勝てて良かった」。自身の今季1勝目を、同じ背番号を背負った先輩の監督初勝利として届けられた山井も、素直に喜んだ。

打線も呼応した。3回に平田の左翼への二塁打で先制すると、4回にも無死一塁から堂上、高橋、大野奨が二塁打を連ね3点を追加。6回にも代打福田の2点適時二塁打などで4点。14安打9点をたたき出した。指揮官が「山井には投球のリズムだけでなく、試合のリズムをつくってもらいたい」と試合前に話していた通りの試合展開だった。

与田監督は「手なんて汗だく。すごく緊張した。気持ちがいい。また明日、しっかりがんばります」と初勝利の味をかみしめた。

1勝1敗。3戦目はチームにとって3年ぶり、与田竜にとって初の貯金を狙う。【伊東大介】