マウンドで浴びた屈辱を、マウンドで取り返した。楽天石橋良太投手(27)がロッテ戦の3回途中から2回2/3を1安打無失点と好救援し、プロ初勝利。チームを今季初の連勝に導いた。

悪い流れをぶった切った。先発藤平が2回までに3失点、4四死球と大乱調。3回1死二塁でバトンを受け渡されると「チャンスをまたいただけたので、とにかくビビらないことを意識した」と心を高ぶらせた。1人目のバルガスは歩かせたものの、続く田村を空振り三振、藤岡を内角をえぐるカットボールでどん詰まりの遊飛。勢いに乗ると5回まで無失点。不安定な試合の流れを引き寄せ、開幕カードを勝ち越した。

2日前の悪夢を引きずらなかった。29日の開幕戦。2点リードした直後の6回2死一、二塁で逆転の3ランをレアードに浴び、敗戦投手になった。試合後は「ほとんど無でした。ポカーンとしてました」と心根をへし折られるほど。しかし、首脳陣はこの日すぐにチャンスを与えてくれた。「同じ失敗はできない。覚悟を決めていきました」と5回1死一塁でレアードを迎えると、144キロの内角球で二飛に打ち取った。「今日も同じ事はできない」と力でねじ伏せた。

立ち向かった姿勢に平石監督は「今日は石橋でしょ。今年にかける意気込みも強いし、オープン戦で結果を残してポジションをつかんだ。負けロングじゃなく、試合に耐えたい時とか、ああいう使い方がある」と評価し、伊藤投手コーチも「前回の反省を2日でいかせてよかった」とほめた。

壊れかけた試合を救い、やってきたプロ初勝利。渡された勝利球にも「どうしようかなって思ってます」と少しばかりの困惑の表情を浮かべた。それでも「一喜一憂せずにやりたい」と誓う。最下位からの巻き返しは、苦労人右腕の姿と重なっていく。【島根純】