黄色く染まるスタンドから白いため息が漏れた。DeNA先発の浜口に抵抗できず迎えた8回。3四球で2死満塁のチャンスを作ったが、2番糸原が4球目チェンジアップを打ち上げて遊飛。

9回には糸井、大山、福留の主軸が3者凡退に封じられた。虎打線が「H」ランプをともしたのは、初回の糸原による左前打だけ。寒の戻りで小雨の舞う本拠地に、9個のゼロが並んだ。

前夜、最大5点差大逆転の勢いを持ってしても、天敵を克服できない。左腕浜口に完封勝利を献上し、これで通算1勝5敗。キレのあるチェンジアップ、スライダーをつかまえ切れない。7四球をもぎ取り、出塁するもあと一本が出ず。矢野監督は「う~ん。変化球はね。結構低めに来たり、逆に抜けた球も、なかなかタイミングが取れず、ちょっと打てなさすぎました」と悩ましげだ。

武器である機動力も封じられた。1回には左前打で出塁した糸原が、一塁けん制で戻りきれずにタッチアウト。3回には四球で塁に出た北條が逆を突かれてけん制アウトになった。果敢な走塁が矢野阪神の旗印でもあるが、清水ヘッドは「流れを止めちゃったな。(盗塁の)サインが出ていないので、あそこで引っかかるのはね」とガックリ。踏み出す右足の歩幅が短く素早いけん制に虎の足が止められた。

お祭りムードで5割復帰した9日から一転、また借金生活に逆戻りした。巨人メルセデス、高橋、広島床田、そしてDeNA浜口と、6敗中4敗は左腕からだ。上位に左打者がズラリと並ぶ打線だけに矢野監督は「僕らは僕らとして、それを打破していかないとダメだと思う」と力を込める。11日は右膝手術からの復活を期す秋山がマウンドに上がる。援護できるか…。2試合連続でお寒い結果は避けたい。【桝井聡】

▼阪神はDeNA浜口と10試合対戦し、5勝を献上と苦戦が続く。とりわけ甲子園では5試合で3勝0敗1ホールド、防御率1・53と数字を稼がれている。主軸は昨季までの通算対戦打率で、鳥谷4割5分5厘、糸井4割1分2厘、福留3割8厘と苦にしていなかったが、今季は初対戦で抑え込まれた。

▼阪神は糸原の1安打だけで完封負け。1安打完封負けは昨年10月1日DeNA戦以来で、この試合も相手先発が浜口。さらに石田-笠井の継投で抑えられたが、同試合でも3回に唯一のヒットを打ったのが糸原だった。

▼相手投手に完投を許しての1安打負けは、15年8月18日に巨人マイコラスにゴメスの安打だけに抑えられ、1-8で敗れて以来3年ぶり(1得点は敵失)。完投シャットアウトされてとなると、12年5月4日巨人杉内俊哉に鳥谷の1本だけに封じられた0-4以来、7年ぶり。

▼初回の1安打だけの敗戦は、02年9月28日に横浜ホルトから赤星が中前打しただけに終わり、0-2で敗れて以来、17年ぶり。