<東京6大学野球:明大1-0東大>◇第5週第1日◇11日◇神宮

明大の森下暢仁投手(4年=大分商)が、リーグ戦初完封で今季3勝目を挙げた。東大相手に延長10回を投げ、20奪三振6安打無失点の快投。9回では歴代3位タイとなる18個の三振を奪った。打線は東大の先発坂口友洋投手(4年=日比谷)に苦しんだが、添田真海内野手(4年=作新学院)のサヨナラ打で決着をつけた。

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リーグ戦初完封も、奪三振も、森下の頭の中にはなかった。念じていたのは「点を取ってくれ!」の思いだけ。6戦全敗と苦しむ東大を相手に落としては優勝は程遠い。必勝が義務付けられたマウンドだった。

初回は3連続三振スタートも自己評価は低い。「球がばらついていて、いいボールがなかった」。2回2死満塁、3回無死一、三塁と連続してピンチ。「東大は1つのプレーで盛り上がっていた。ここで粘らないと悪い流れになる」。苦しい場面はこの日最速150キロの直球で切り抜けた。

「4回からカットボールをうまく制球できるようになり、ピッチングを修正できました」。4~8回まで5イニング連続の3者凡退。延長10回の先頭打者の場面では、自分で決めようと力み右飛に仕留められたが、2死から丸山和郁外野手(2年=前橋育英)の二塁打と添田の殊勲打で勝利をつかんだ。

終わってみれば10回20奪三振。「三振もそこまで取っている感じはなかった。集中してたんですね」と笑った。「完封もやっとできた感じです」。これまで3年間は好投しながらここぞで失点してきた未完の大器が、ようやく勝てるピッチングへの扉を開けた。【井上真】