東日本国際大(福島)が8-3で石巻専大(宮城)に勝ち、4季連続31度目の優勝を決めた。

2-2の2回裏2死二塁、主将の片岡奨人外野手(4年=札幌日大)が右中間適時三塁打を放って勝ち越し。7回にも強烈な一ゴロで相手失策を誘って突き放した。12日の最終戦に勝てば、過去3度と同じ全勝制覇。6月10日開幕の全日本大学選手権(東京ドーム、神宮)出場権も獲得し、1回戦で愛知大学野球連盟代表と対戦する。

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中堅から仲間の姿を見つめる片岡の脳裏に、過去の喜びや悔しさが駆けめぐった。「ようやく、ここまで来られたんだな」。試合に先発出場している4年生は3人と少ない中、「自分が打てば勝てる、優勝できると思い続けてきた。今日も打てる気がした」。重圧をかけて士気を高め、大一番での決勝打にもつなげた。酒井雷太内野手(4年=帝京)が最後の一邪飛を捕球して号泣する姿を眺めながら、「4番DH」能代勘介外野手(4年=北海道栄)ら仲間が待っていてくれた歓喜の輪に一番最後に両手を上げて飛び込んだ。

同会場では17年春に石巻専大の胴上げを見た。昨秋は明治神宮大会出場をかけた東北地区代表決定戦で東北福祉大(仙台6大学)に勝って、自信を得た場でもある。「春のキャンプからうまくいかないことばかりで不安も多かったけれど、ベンチ入りすら少ない4年生が助けあいながら出来ているのが強さに変わったと思います」。

伊藤力生外野手(4年=八戸学院光星)は西武熊代のように、試合前に気持ちを高める“訓示”で雰囲気を盛り上げる。鈴木優佑外野手(4年=東北)がベンチ外メンバーなどと積極的に交流。内原英哉捕手(4年=沖縄尚学)は下級生投手陣の心の支え。主将は、酒井が帽子のつばに「片岡を勝たせる」と黒色マジックで書いていることも知っている。「恥ずかしいから、その話はしませんけれどね」。プレー外は、みんなが役割分担して支えてくれている。どんな個人タイトルを獲得するよりも、仲間からの胴上げが最高の祝福だった。

4季連続全勝優勝を果たすまで、気を緩めることはない。「自分たちがやってきたことが間違っていなかったことを証明する1勝になる。ノーミスで大差で勝ちたい」。春を終えての主将交代が同大の通例のため、全日本選手権が主将としての最後の舞台となる。「絶対、胴上げされたいです」。昨秋の同選手権8強を超えて、高々と宙を舞ってみせる。【鎌田直秀】