<全日本大学野球選手権:明大5-1東農大北海道オホーツク>◇16日◇準決勝◇神宮

明大(東京6大学)が38年ぶり優勝に王手をかけた。初回、東農大北海道オホーツク(北海道学生)に1点先取されたが、2回に同点。直後の3回から登板した伊勢大夢投手(4年=九州学院)が7回1安打無失点の好リリーフで勝利を呼び込んだ。

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伊勢は「先制されてたし、負けても自分のせいじゃないやと」と笑って明かした。重圧と無縁な男はテンポがよかった。サイド気味から、直球をぽんぽんとゾーンの両端に収めた。3回2死、東農大北海道オホーツク松本への初球は自己最速を1キロ更新する151キロ。「もっと出るかなと思ったけど…出ませんでした」とニヤリ。直球と同じ軌道から落ちるシンカーで空振りを奪う。援護がなくても動じない。ついに8回、4点勝ち越し。9回を締め、軽くグラブをたたいた。

昨秋リーグ戦は1試合。今春も救援で5試合だけ。「ずっと調子が悪くて迷惑をかけた。信頼を取り戻すつもりでした」と選手権にかけていた。12日の福井工大戦に先発し、6回2失点で勝利。この間、投球フォームを見直し、制球を安定させた。口調はおどけていても、覚悟の登板だった。

善波達也監督(57)は「伊勢がポイントだった」とたたえた。38年前の81年、当時1年生で自ら味わった優勝が最後だ。前夜には、同年主将の阪神平田2軍監督ら優勝メンバーから差し入れられたメロンをみんなで食べた。「38年ぶりのチャンス。チャレンジしたい。明日は森下。みんなの思いを乗せた球を放って欲しい」とエースの先発を予告した。明大の決勝戦は過去5戦全勝。6度目の栄冠へ機は熟した。【古川真弥】