“燕のゴジラ”が、ついに10代の頂点に手をかけた。高卒2年目のヤクルト村上宗隆内野手(19)が、先制の31号ソロ。10代での最多本塁打記録を保持していたプロ1年目の86年清原(西武)に並んだ。

2回2死、DeNA上茶谷の内角高め直球をバックスクリーン左へ運んだ。22日広島戦で30号を放った後は11打席連続凡退もあり、4試合ぶりのアーチ。ベンチでは満面の笑みを見せ「本塁打になってくれたので、よかった」と話した。

打点もセ・リーグ単独トップの86に伸ばし、高卒2年目以内では歴代1位、怪童と呼ばれた53年中西(西鉄)に並んだ。24日阪神戦では、取材に訪れた86歳の中西氏と対面。偉大な先輩からの「毎晩、バットを振るんだぞ」という金言は、プロ1年目から継続している村上の強みだ。

高津2軍監督は「体が強かったから、一日中バットを振らせた。それができる子だった」と振り返る。ファームでの強化がメインだった昨季。朝の早出でバットを振り、イースタン・リーグに出場。寮に帰ってからも室内練習場で、マシン打撃の特打。これを繰り返した。イースタンでは98試合に出場し打率2割8分8厘、本塁打17本。北川2軍打撃コーチは「スイングスピードを上げるために、とにかく振らせた。それでも音を上げたことは1度もなかった」と認める。持ち前のパワーと努力が作った規格外の“燕のゴジラ”は「結果は後からついてくる。チームに貢献できるよう、勝ちにこだわる」。リーグ最多に1本差とし、史上最年少の本塁打王誕生は、もはや夢物語ではない。【保坂恭子】