初回2死走者なし。阪神の先発ジョー・ガンケル投手(28=マーリンズ3A)が投げ込んだ147キロ直球は、広島長野の外角いっぱいに決まった。3個目のアウトを取ると、顔色を少しも変えずひょうひょうとマウンドを降りた。その後も内外角問わずストライクゾーンぎりぎりにテンポ良く決め、3回を無安打無失点と危なげなかった。

「真っすぐだけじゃなく他の球種も全部プレートの端、コースにしっかり投げ分けることが出来た。コントロールすることも出来たから、本当に良かったかなと思うよ」

打者10人のうち初球ボールは2人だけで、3Aでの4シーズンで与四球率1・19だった驚異の制球力を存分に見せた。

初めて対戦した広島打線からは舌を巻くコメントが相次いだ。2回に内角の真っすぐに詰まらされて一邪飛の4番鈴木誠が「コントロールがいいピッチャー。コースのいいところに決まっていた」と言えば、初回に三ゴロの田中広は「低めはボールが動くし、ストレートもピュッと来て速い。バリントンの球強いバージョン」と表現。広島で11~14年に計40勝を挙げた右腕バリントンの名前を挙げ、それより力強いボールを持っているとなれば、ガンケルの白星量産に期待が高まる。

矢野監督も「ほとんどストライクも先行出来ているし、ゴロもしっかり打たせられた。らしさは十二分に出してくれたと思う。申し分ない」と絶賛だった。その上で先発ローテーションの6枠入りに「十分に今の力では入ってくるでしょう」と“当確”を与えた。

ガンケルは「外角と内角を使い分けた後は、上だったり下だったり、全部のコースがまた有効になってくる。そこは原点というか、自分の持ち味」と自身の強みを理解。精密な制球力で打線を手玉に取っていく。【磯綾乃】

▽阪神福原投手コーチ(ガンケルについて)「高さで間違えないし、いいものを見せてもらった。(イニングは)徐々に伸ばしていきます」